日銀 1月に「大規模金融緩和終了後」について議論 日銀に大きな意識の転換

3月26日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、日銀の金融緩和後についての議論について意見を交わした。

経済全体を見れば上手くまわっているのに、その動きを邪魔するな!

日本銀行が3月25日に公開した、1月22、23日に開いた金融政策決定会合の議事要旨で大規模金融緩和を終えた後の金融政策について具体的に議論していたことが分かった。

日銀は1月の会合で緩和策の維持を決めたうえで、物価安定目標の実現が現実味を帯びてきていることを踏まえ、大規模緩和終了後の政策運営について基本的な考え方を整理していくことが重要という見解で委員が一致。踏み込んだ議論が行われた。

(寺島アナ)

「物価安定目標の実現、これは本当に現実味を帯びているのでしょうか?」

(田中氏)

「少なくとも1月の段階で、日銀の政策委員会の物価見通しの中央値は、エネルギーや生鮮食品を除く消費者物価指数『コアコアCPI』を見ると1.9%で2%いかないんです。もう取り下げましたけどつい最近まで“インフレ目標2%を超えても、しばらくは金融緩和を続ける”っていうオーバーシュート型のインフレ目標にコミットしていたわけですが、そういった経緯からいうと明らかに日銀の意識に大きな転換がありますよね」

田中氏は先週行われた日銀の政策決定会合での発言を指摘する。

(田中氏)

「“大胆な金融緩和は役目を終えた”と、分かりやすく言うと“アベノミクスは終わった”と日銀が言ってそれを政府も受け入れた。政府はデフレ脱却宣言をしていないので、そこらへんは政治的な開きはありますけど、本音の部分では“大規模な刺激政策をやる動機付けがない”。となると金融緩和に否定的な新聞があるのですがそれを見ると最近は財政再建とか消費増税の議論が大復活しているのを、気づいている人は気づいています」

さらに日銀の金融面でのスタンスも問題視する。

(田中氏)

「“最終的な金利水準の到達点をあらかじめ見極めるのは難しい”という発言がありました。これは言い方を変えると“物価がどういうところに着地するのか自分たちには分からない”と、つまり“インフレ目標が形骸化している”と自ら本音を言っちゃってるんです。そういう人たちが“金融緩和を当面続ける”と言っても日銀の思いに引きずられる。ただでさえ植田さんの思いに引きずられているマイナス金利解除ですけど、イールドカーブですべての金利が上がっていくんですよ。植田さんは“住宅ローンへの影響は限定的”って言ってますけど、いま消費が足りないのに住宅ローンとか耐久消費財のための分割払いや、車を分割して買うこととかにブレーキかけてるんですよ」

さらに田中氏は、責任が財政政策にくると言う。

(田中氏)

「財政政策では6月に減税やります。一方でアクセル踏んで、一方でブレーキかけること自体おかしいですが、その効果がどこまであるのか? お金が借りにくい環境でステルス増税もあるんじゃないか? 例えば再エネ賦課金、これ上がります。月々の電気料金、社会保障の負担が徐々に増えていくことを国民も知ってますよ。そのなかで多少減税があったからといって、ハッピー!と消費を増やすのは余程の物好きですよね? そんな中で金融緩和はもうしない、ブレーキはかけないけどゆるやかにアクセルをかけてるだけ、って本当かよ!と思うんですけど、財政効果も期待薄になったところで、今年の後半は追加利上げと噂されています。そこになびきやすいのが日銀ですよね?」

田中氏はさらに財政再建路線が復活しやすい状況であることを指摘する。

(田中氏)

「ただでさえ積極財政を唱えていた安倍派が壊滅。その補助団体であった二階派もバカ野郎解散。そして岸田さんの正体は増税再建派だと思うんです。先ほど言ったステルス増税の連発も止めようと思えば止められるのに止めないですよね? 一回限りの減税ってことは、来年は増税ですから。そう考えると余程お人よしな国民じゃない限り、賃金が上がったからってそれを消費にまわすとかしませんよ? 株が上がれば良いって人もいますけど、みんな貯蓄や資産にまわしているので、日本経済が安定成長しないんです。そう考えると、まだまだ賃金と物価の好循環が分かる前に動くべきじゃないと思います。今は経済全体を見れば上手くまわっているので、その動きを邪魔するな! ってのが僕の主張です」

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