24年公示地価、全国平均2.3%上昇 3年連続増でコロナ前も回復

Kentaro Sugiyama

[東京 26日 ロイター] - 国土交通省が26日に発表した今年1月1日時点の「地価公示」によると、全国の全用途平均は前年比2.3%上昇し、3年連続の上昇となった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2021年に下落した地価は、経済が正常化していく過程で住宅地、商業地ともに回復してきた。国交省は「一部に例外はあるものの、全国的にほとんどの地点でコロナ前まで戻りきった」としている。

<全国の住宅地・商業地、3年連続で上昇>

全国の全用途平均の伸び率は、バブル経済で資産価格が高騰していた1991年(11.3%)以来33年ぶりの大きさだった。

住宅地は全国平均で前年比2.0%上昇し、91年(10.7%)以来の上昇幅。都市中心部や利便性・住環境に優れた地域などで需要が堅調だったほか、北海道富良野市など外国人にも人気の高いリゾート地では別荘やコンドミニアムなどの需要が増えて高い伸びとなった。

商業地は平均で同3.1%上昇し、上昇幅は2020年と同水準だった。人の往来が戻った観光地や繁華街で、地価の大幅な回復がみられた。都市中心部の交通利便性の優れた地域では、マンション需要との競合で高い上昇となった地点があった。

熊本県の菊陽町や大津町など大手半導体メーカーの工場が進出する地域では、従業員向けの住宅用地や関連企業の事務所用地などの需要が旺盛だった。このほか、ネット販売の拡大を背景に大型物流施設用地などの需要が高く、高速道路などへのアクセスが良好な工業地が人気を集めた。

<地価の上昇、地方にも波及>

東京、大阪、名古屋の3大都市圏の地価は全用途平均で同3.5%上昇し、08年以来の高い伸びとなった。住宅地は2.8%上昇し08年以来、商業地は5.2%上昇し20年以来の上昇幅だった。

地価は地方圏でも拡大傾向となっている。札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方4市の全用途平均は同7.7%上昇。住環境が良好な郊外部や周辺の市町に住宅需要が波及しているほか、商業地はオフィス需要が堅調に推移している。上昇幅は23年の8.5%から縮小したものの、高い伸びを維持した。地方圏の「その他の地域」にも波及し、全用途平均・住宅地・商業地は2年連続で上昇した。

もっとも、人口減少や高齢化を背景に住宅や店舗の需要が減り、コロナ前から地価が下落していた地点も一定数あるという。全国の下落率で上位に入った石川県珠洲市の地点は、過疎化によって住宅地、商業地の需要がもともと弱かった。

なお、能登半島地震の発生は1月1日午前0時以降だったため、今回の調査には影響は反映されていない。

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