「氷見を元気に」西條熱戦 福島で春中ハンド 男子4強

準々決勝の前半にシュートを放つ橋本(中央)=福島市の福島トヨタクラウンアリーナ

 能登半島地震の影響で氷見市から福島県に会場を移して開かれている第19回春の全国中学生ハンドボール選手権(富山新聞社後援)は第4日の26日、福島市の福島トヨタクラウンアリーナなどで3回戦と準々決勝が行われ、富山代表の氷見西條の男女は男子が準決勝に進んで4強入りした。被災地を元気づけたいと強い思いで臨む今大会。目標の優勝へあと二つとなった。

 男子は3回戦でトヨタ紡織九州レッドトルネードユース(佐賀)に41―18で大勝し、準々決勝で鶴崎(大分)を30―21で下した。女子は3回戦で吉川南(埼玉)に19―27で敗れた。最終日の27日に準決勝と決勝が行われる。

  ●橋本躍動 

 圧勝だった3回戦とは一転、準々決勝は苦しい戦いを強いられた。氷見西條の男子は前半、後手に回って追う立場となったが、後半に立て直し、目標の優勝に近づいた。「富山に勇気を与える大会にする」。女子が3回戦で涙をのみ、地震の被害の大きかった地元のために、ここで負けるわけにはいかなかった。

 前半は持ち味の守備が積極性を欠いた。「受けに回り、アグレッシブさがなかった」と大嶋賢監督。相手に次々とシュートを決められ、逆に自分たちの決定率は伸び悩んだ。

 チームを救ったのは左ウイングの橋本朱右(しゅう)選手(2年)だった。仲間のシュートがゴールキーパーに度々止められ、リズムに乗れない前半、「自分が決めてやる」とチーム得点の半分となる6得点と躍動した。

 後半は守備のシステム変更が奏功した。6人一列から1人が積極的に前に出てボール奪う形とした。その役も担い、攻守で貢献した橋本選手は「次も苦しい試合になる。粘って勝って優勝する」と誓った。

  ●強豪に敗れ女子涙

 足が止まっても、諦めない気持ちを最後まで持ち続けて戦った。女子の氷見西條は3回戦で相手の高さと速攻のスピードに対応できず、後半に一気に突き放された。4強入りの目標に届かず、強豪との力の差を目の当たりにして悔し涙が止まらなかった。

 前半は高い位置からの守備で相手の攻撃を抑え、リードされても取り返す展開となった。藏多梨乃選手(2年)、能登千愛選手(同)の得点で食らい付き、11―13で折り返した。後半は細かくパスを回すも攻めあぐね、退場者を出してからは6連続失点するなど一気に点差を広げられた。押し込まれ、シュートも入らず気持ちが折れかけたが、最後まで少しでも点差を詰めようと奮闘した。

 「こんな悔しい思いはもうしたくない」と三箇唯愛主将(2年)。今夏に地元で開催される「全中」へ、泣いてばかりではいられない。今度こそ元気を届けるため、雪辱に燃える。

3回戦で敗退し、涙を流す氷見西條の選手

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