「英訳がすごく適切で的確」大谷翔平を支える“新通訳”の実力を米出身・早大特命教授が絶賛!「気持ちがこもっていた」「好感を持ちましたね」

現地3月25日、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平がいわゆる“違法賭博スキャンダル”に関して、初めて自身の言葉で声明を発表した。

元通訳である水原一平氏を巡る疑惑が一大騒動となっている事実を受けて、メモを参照しながらおよそ11分間に渡って真相を説明。「信頼していた方だったので悲しくてショック」「彼(水原氏)はみんなに嘘をついていた」「僕自身は賭けていないし送金もしていない」「彼が僕の口座からお金を盗んだ」「ホテルで(水原氏と)ふたりで話して嘘をついているなと気づいた」など、包み隠さずに率直な想いを明かした。

報道陣との質疑応答が実現せず、とりわけ「水原氏がいかにして送金できたのか?」という最大の疑問に対する言及がなかったため、米メディアの間では懐疑的な意見も散見されるが、日米のファンからの反応はおおむね好意的と言っていいだろう。そのコメント発信に小さくない貢献を果たしたのが、水原氏に代わって大谷の通訳を務めたウィル・アイアトン氏だ。

かつてドジャース時代の前田健太の通訳を担当した35歳。日系アメリカ人の父とフィリピン人の母を持ち、15歳まで東京で育った。その後渡米して高校、大学と野球に没頭して、2013年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではフィリピン代表の一員(二塁手)に名を連ねる。同じ年にテキサス・レンジャースとマイナー契約を交わすも、一年後に26歳で現役引退を決意した。

通訳業務の傍ら、データ分析の才を磨き上げた二刀流でもある。2019年からはドジャースに籍を置いてデータ分析を担い、現在はドジャース編成部選手育成・能力開発主任の肩書きを持つ。水原氏の解雇を受けて大谷の新通訳に指名されたが、元々ドジャースの躍進に欠かせないチームスタッフだったということだ。

大谷の会見の様子は、日本のニュースでもフルバージョンで放送されるなど大きな反響を呼んだ。そんななか、アメリカに向けに大谷のコメントを訳したアイアトン氏の力量に目を丸くした人物がいる。早稲田大学の特命教授で、日本文学の研究者であるロバート・キャンベル氏だ。
26日に放送されたMXテレビ系情報番組『バラいろダンディ』に出演したキャンベル氏は、「日本だと切られてしまうんですが、僕は通訳の英訳をすべて読みました」と発言。そのうえで「ひとつ言いたいことは英訳がすごく適切で的確で、すごくスムーズでした」とアイアトン氏の翻訳力を激賞した。

さらにキャンベル氏は「短い文章で切っていましたね。ただの読み上げ原稿のようではなくて自然でした」と続け、「この一週間、信頼していたひとから裏切られて、自身にも嫌疑をかけられるという(大谷の)二重の苦しみを読み上げてはいるんだけど、すごく気持ちがこもっていた。好感を持ちましたね」と賛辞を贈っている。

英語のネイティブスピーカーで日本文学に精通する権威から太鼓判を押されたアイアトン氏。大谷はデータ解析にも長ける新たなパートナーとともに、大注目の2024年シーズンを戦う。

構成●THE DIGEST編集部

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