豪2月CPIは+3.4%、2年ぶり低水準維持 「スイフト効果」限定的

[シドニー 27日 ロイター] - オーストラリア統計局が27日発表した2月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比3.4%と前月から変わらず、2年ぶりの低水準にとどまった。これを受け、オーストラリア準備銀行(中央銀行)の次の一手が利下げになるとの市場の見方が強まった。

市場では3.5%に加速すると予想されていたが、シドニーとメルボルンを除き旅行・ホテル宿泊代が大きく下落したことが下押し要因となった。

前月比では0.2%上昇。3カ月の上昇率は年率2.4%で、中銀が目標とする2─3%のレンジ内に入った。

統計を受けて豪ドルは0.2%下げて1豪ドル=0.6519米ドルとなった。豪3年債先物は序盤の安値から持ち直し、ほぼ横ばいの96.42。市場は引き続き利下げ開始時期を8月か9月と予想している。

INGのアジア太平洋地域調査担当責任者、ロブ・カーネル氏は「インフレ率が底を打ったように見えるかもしれないが、今後数カ月はベース効果で低下しやすくなるはずだ」と指摘し、年内の金融緩和の可能性が高まったとした。

コアインフレ率の指標として注目されるCPIの中銀トリム平均値は前年比3.9%上昇。1月の3.8%からやや加速し、粘着性を示した。

変動の大きい品目と旅行を除いたCPIは3.9%上昇と、前月の4.1%上昇から鈍化した。

シドニーとメルボルンでは米人気歌手テイラー・スウィフトさんのコンサート開催の効果でホテル宿泊代などが押し上げられたため、アナリストの一部は総合CPIの伸び加速につながると予想していた。

ただ、1月の学校休暇中に盛り上がった旅行需要が2月は一巡したことから、両都市以外で宿泊代や航空運賃が下落したと、ABSの物価統計担当責任者、マイケル・マーカート氏は指摘した。

旅行・宿泊は前月比9.3%と大きく下落し、燃料や教育、衣服の上昇を相殺した。

中銀は今月、インフレ鈍化などを背景に3会合連続で政策金利を4.35%に据え置いた。政策についてまだ何も決定しておらず何も排除していないとし、引き締めバイアスを弱めた。

市場は引き締め局面が終了したとみているが、今年の利下げ幅は40ベーシスポイント(bp)にとどまると予想している。

2月のCPI統計は第1・四半期のサービス価格についてより多くの最新情報を提供。家賃の上昇率は前月の7.4%から7.6%に、保険料も8.2%から8.4%に、それぞれ加速した。

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