プロ人材の助言、企業の刺激に 県事業、目標上回る43人がマッチング

施設の今後の運営について話し合う高橋木工所の高橋真己社長(右)と全日本空輸の清水佑亮さん=南陽市漆山、シェアスペース「つるのこ」

 副業・兼業を希望する都市部のプロフェッショナル人材(プロ人材)と県内中小企業をつなぎ、課題解決と関係人口拡大を目指そうと、県が2023年度にスタートさせた「やまがた未来(みら)くる人材活用事業」のマッチング数が目標の「30人以上」をクリアし、43人に上っている。頼りになる“参謀”からの助言は、企業の新たな気付きや刺激になっている。

 県移住定住・地域活力創生課によると、事業は昨年9月に始まり、3月18日までに61企業が80件の募集を出した。案件は「競争力の高い商品企画」や「スポーツ施設のウェブ集客」「請求業務のDX」「採用強化」など幅広い。1144人の応募があり、43人のマッチングが成立した。

 南陽市の高橋木工所は、市内の元酒蔵・古民家を再生して昨年オープンさせたシェアスペースとシェアハウス「つるのこ」の運営を相談できる人材を求めた。約20人の中からマッチングしたのは全日本空輸CX推進室グローバルマーケティング部の清水佑亮さん(39)=埼玉県川口市在住。清水さんは25、26日に現地を訪れ、高橋真己社長(65)と集客方法や今後の展開を話し合った。

 おにぎりやパンの店、抹茶カフェなどの開店準備中で4月の本格オープンを予定しており、海外からの集客も視野に入れている。本業のマーケティングのノウハウを地方創生と関係人口拡大に生かしたいと応募した清水さんは「リピーターが多い台湾をターゲットに、食の魅力をPRしたい」とアドバイスした。シェアスペースを食や集客のハブ(中心)に位置付け、「趣の異なるシェアハウスを複数用意してはどうか」と提案していた。

 清水さんの助言でオンライン決済などのシステム化も進めている高橋社長は「われわれにはない知見や人脈があり、心強い存在。市内、県内外、さらに海外から人が集まる施設にして、地域を盛り上げたい」と語った。

◇やまがた未来くる人材活用事業 人手不足の解消や企業が抱える問題の解決、地域活性化と、関係人口の拡大が狙い。県から業務を委託された人材紹介会社2社のサイトで県内企業の募集案件を紹介。企業が支払う手数料を県が負担する仕組み。地元金融機関や県プロフェッショナル人材戦略拠点とも連携している。2024年度も実施する。

© 株式会社山形新聞社