琴ノ若関「琴桜」襲名へ、惜しみつつ頂点期待 ゆかりの尾花沢、応援さらに

琴ノ若関の「琴桜」襲名に合わせ、おーばんが制作を進めている化粧まわしのデザイン(同社提供)

 大相撲の大関琴ノ若関(26)が、横綱を務めた母方の祖父のしこ名「琴桜」を夏場所から名乗ることになった。父で師匠の佐渡ケ嶽親方(55)=元関脇琴ノ若、尾花沢市出身=の現役時代から県内相撲ファン、とりわけ親方の故郷で親しまれた名前に区切りを付け、改めて頂点を目指す。尾花沢市では26日、家族などが「琴ノ若」への愛着と惜しむ思いを語り、いっそうの活躍を願った。

 同市に住む父方の祖父母の今野芳夫さん(88)、とき子さん(85)は、息子の佐渡ケ嶽親方の現役当時を思い起こし「場内放送で琴ノ若と尾花沢はセットだった」と懐かしんだ。「呼びやすく、今でも地元になじんだしこ名。もう少し『大関琴ノ若』を見たかった」と、惜しむ心中を語った。

 芳夫さんは、2年ほど前から大関になれば琴桜に改めると関取本人から聞いていたという。「琴桜は偉大なしこ名。簡単に負けることは許されない」とし「来場所は心機一転、正攻法の相撲で12、13番は勝ってくれるだろう」と期待した。

 8月11日には市内で大相撲夏巡業「尾花沢場所」が開催され、盛り上げへの機運が徐々に高まっている。実行委員長を務める結城裕市長は2代にわたる「琴ノ若」の歩みを思い、関脇から大関に引き上げた関取の活躍に「親方も喜んだだろう」と賛辞を送った。

 尾花沢場所に向け「改名を契機に、今後の成績次第では夏巡業までに横綱になる可能性もある」と希望を膨らませ、「凱旋(がいせん)した琴桜関を地域を挙げて迎えられるよう準備を進めたい」と語った。

「心」の新化粧まわし、おーばんが制作

 佐渡ケ嶽部屋と琴ノ若関の両後援会長を務める二藤部洋さん(74)=天童市、おーばん社長=は、佐渡ケ嶽親方が入門した約40年前から親子2代の「琴ノ若」の奮闘を見守ってきた。

 新大関で10勝5敗だった春場所について「『勝って当たり前』と言われ、これまでとは違う重圧を感じたと思う」と推し量り、「親方からは『5月場所での優勝を目指して頑張らせる』とのメールが届いた。新琴桜として躍進を期待している」とエールを送った。

 おーばんは襲名に合わせ新たな化粧まわしの制作を進めている。佐渡ケ嶽親方からは「心技体」の各文字を使ってほしいとの要望があり、最初に作っているのは「心」の化粧まわし。紺地の中央に、二藤部さんが揮毫(きごう)した文字を銀色で大きく刺しゅうし、しこ名は金色で「琴櫻」と記す。5月の夏場所から締めてもらう予定という。

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