ジョン・ケイル、最新アルバムよりリード曲「How We See The Light」を公開

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのオリジナル・メンバーで、音楽史において、サウンドとカルチャーの両面で巨大な変革をもたらし、今もなお時代の先端を行くジョン・ケイル(JOHN CALE)の最新アルバム『POPtical Illusion』が、6月14日(金)にリリース。リード曲「How We See The Light」をミュージック・ビデオとともに公開しています。

『POPtical Illusion』は、タイトルこそ遊び心あふれるものですが、ジョン・ケイルが自分勝手な資本主義者と悔悟の念のない詐欺師たちがこの世界の驚異と人々の善性を意図的に破壊してきたことに対して、激しく怒り続けているのが伝わる作品。

アニマル・コレクティヴ、シルヴァン・エッソ、ローレル・ヘイロー、テイ・シ、アクトレスら豪華ゲストを迎え、前作『Mercy』からわずか1年と少しで完成されましたが、前作とは異なるのはもちろん、没曲を集めた内容でもありません。事実、60年以上に及ぶキャリアを通じて、同じことを繰り返した例はないジョン・ケイル。彼の時代を切り拓く熱意は、恍惚的古典主義と自由なロック、伝統的な作曲法と堂々たる不穏さを備えた電子音楽の再構築の間を移り変わってきました。そして本作では、シンセサイザーやサンプリング、オルガンやピアノの迷路にほぼひとりで潜り込み、渦巻く希望のような、それでもまだ変化は可能だという賢明な主張のような言葉を伝えています。ケイルにとって長年の創作上のパートナーであるニタ・スコットがロサンゼルスのスタジオでプロデュースした『Poptical Illusion』は、怒りとその理由を決して無視することなく、しかし未来に向かおうとしている人物の作品と言えるでしょう。

今回公開されたリード曲「How We See The Light」は、ケイルの数多ある作品の中でも最も美しく、救いをもたらすもののひとつ。脈打つピアノがパカッパカッと鳴るドラムとともに出入りし、バックグラウンドにはさまざまなノイズが渦巻いています。ケイルはもうひとつの関係の終わりについて考え、それを時間の無駄ではなく、ひとつの学ぶ機会、予期せぬ場所へ行く機会として捉え、「私たちの人生の歩みにおいて、またひとつの章を閉じることができるだろうか?」と歌っていますが、その声の不思議な丸みは、この問いが彼にとって初めてのものであることを示唆しています。ケイルは、パンデミックのあいだに“心の中で何かが変わった”とたびたび発言してきましたが、80歳を目前にして、自分がかつて同じ時代を生きていた人々の多くが経験しなかった時代を生きて創作していることに気づき、それを記録することを望みました。わずか1年ほどのあいだに80曲以上を書き、パンデミック期における人間のさまざまな経験を集合的に見渡そうとしました。

また、ジョン・ケージとアーロン・コープランドの両方に師事し、クラシックの訓練を受けたヴィオラ奏者である彼は、昔からヒップホップの熱心なファン。とりわけそのテクノロジーを駆使して多次元的なテクスチャーを創り出したり、驚くべきメロディを構築したりする創造性に傾倒してきました。『Poptical Illusion』では、そうした感情や熱狂が1ダースのエレクトロニックな遊び場として統合され、自身の威厳ある歌声が駄洒落や洞察、苦情や警句、人生やある種の真実を織り交ぜながら、そのすべてを横切っていきます。

アルバムは、CDと2枚組LP、デジタル / ストリーミング配信で世界同時リリース。国内盤CDには、歌詞対訳付きの解説書が封入され、ボーナストラックが2曲追加収録。LPは通常盤(ブラック・ヴァイナル)に加え、限定盤(ネオン・オレンジ・ヴァイナル)の2形態で発売されます。

Photo by Madeline McManus

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