那須雪崩、県教委の体制が未整備 事故発生から7年、文書公表

雪崩事故の現場近くで手を合わせる三輪浦淳和さん=27日午前、栃木県那須町

 栃木県那須町で2017年、登山講習中の高校山岳部員ら8人が死亡した雪崩事故から7年となる27日、県教育委員会は、事故の反省と再発防止の取り組みをまとめた文書を発表した。県教委の体制が整備されておらず、チェック機能が働いていなかったことなどが発生要因だったとし「心より深くおわび申し上げる」と記した。

 県教委によると一部遺族が起こした訴訟で、県などに約2億9千万円の賠償を命じた宇都宮地裁判決が23年7月に確定したのを受け、策定した。

 文書では、県教委は事故の発生を未然に防ぐ責務を負っていたのに、登山講習会の運営に全く関与せず、適切な指導を行っていなかったと指摘。事故後の遺族らへの説明不足から「責任を被害者に転嫁していると受け取られるような対応で、寄り添った対応が行えなかった」とした。

 再発防止策として、県教委が安全性のチェックを行うことや、教員らの研修強化の他、登山アドバイザーの帯同などの取り組みを列挙。「事故の教訓を後世に伝え、決して事故が風化しないよう取り組む」と結んだ。

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