「地元から認めてもらって全国に発信できたら」ニジマスの生産量日本一なのに…地元で食べられていない=静岡・富士宮市

サケの仲間で日本各地で養殖が行われている「ニジマス」。生産量日本一を誇るのが静岡県富士宮市です。富士宮市で育てているブランドのニジマスの出荷量が増え、順調に見える一方で、地元はある課題を抱えています。

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<祭りの賑わい>
「売上日本一。いろんなところで生きてます」

3月上旬、富士宮市で開かれた「にじます祭」。ニジマスを使った様々なグルメが並びました。ニジマスの生産量が日本一の富士宮市。“地元の人”に向けてニジマスをPRするために、この祭りを開いていますが、そこにはある事情があります。

<にじます祭実行委員会 惟村智子さん>
「ニジマスは生産量日本一ですが、まだまだこの地元では、あまり食べられていない食材となっています」

ニジマスの養鱒場です。

<富士養鱒漁業協同組合 岩崎伸男さん>
Q.すごくたくさんニジマスがいますね?
「この池にだいたい2000匹くらい泳いでいます」
Q.これは何というニジマスですか?
「これは、うちの組合のブランドで、紅富士になる魚ですね」
「大体3キロくらいのサイズです」

富士山の豊富な湧水で、2年から3年の期間を経て、2キロ以上の特大サイズになるまで丹念に育て上げたプレミアムブランドのニジマス「紅富士」。近年、出荷量も増加しているといいます。

しかし…。

<富士養鱒漁業協同組合 事業部販売課 栗田岳志主任>
「現状の出荷は、東京や北関東、名古屋、静岡県内だと離れた浜松のほうに魚の出荷が多い。ニジマスの全体の出荷量が300トンくらい出荷しているが、そのうち富士宮は年に1トンちょっとくらいしか出荷がされていないような状況です」

富士養鱒漁協によりますと、ニジマスの年間出荷量は335トンで、このうち290トンは静岡県外に。さらに、2022年のニジマスの出荷量を静岡県内でみると、浜松への出荷が半分以上を占め、富士・富士宮は約2.2トンで、全体のわずか5パーセントほどです。

<富士養鱒漁業協同組合 事業部販売課 栗田岳志主任>
「もともと県外(への出荷)や輸出などが盛んに行われていて、あまり地元に販売を強化してこなかったというような過去があるからだと思います」

ニジマスを多くの地元の人に食べてほしいと、生産者と飲食店がPRに乗り出しました。

ニジマスを使った料理を提供している富士宮市の居酒屋です。

<喜せらせら 成田英司店長>
「紅富士は、さっぱりした味わいで、すっきり食べられる」

3月から新メニューに加わったのがニジマスのクリームコロッケ。ニジマスを手軽に食べてもらおうと漁協が開発しました。

<喜せらせら 成田英司店長>
「生臭さとかもまったく感じなくて、きれいに食べられる。いちばんは、地元の方に食べてもらって、地元の方から認めてもらって、全国に発信してくれたらなと思います」

ニジマスの出荷量日本一の富士宮市。地元の人にもっと誇りを持ってもらおうと、生産者たちが奮闘しています。

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