札幌ドームは生き残れるのか?「新モード」でフェス型ライブイベント開催へ ”ボールパークの仕掛け人”からは愛するゆえの厳しい言葉が…

厳しい経営が続く中、札幌ドームは3月30日、場内を暗幕で仕切る「新モード」で初めて音楽ライブを開催します。収支改善につながるのか。「ボールパークの仕掛け人」の口からは厳しい言葉が飛び出しました。3月、札幌ドームで行われたオープン戦。2024年シーズン、札幌ドームでの試合はこのオープン戦での2日間のみ。ファイターズが北海道北広島市に移転したことで、札幌ドームは収入が約3割減少し、2023年度の赤字は3億円以上に膨らむ見通しです。ファイターズが北海道北広島市に移転したことで、札幌ドームは収入が約3割減少し、2023年度の赤字は3億円以上に膨らむ見通しです。

ファイターズが抜けた穴をどう埋めるのか

「本当、久しぶりにきのう札幌ドーム伺いましたけれども、やっぱり施設としては本当によくできた施設だなっていうふうに再認識しました」(ファイターズ スポーツ&エンターテイメント 前沢賢 取締役)ボールパークの仕掛け人「ファイターズ スポーツ&エンターテイメント」の前沢賢取締役です。「僕は(札幌ドームは)全然世界に誇れる施設だと思うけど、本当にもったいないもん。多分、このままいったらなくさざるを得なくなっちゃうんじゃない」(前沢 取締役)

ボールパークの仕掛け人前沢賢取締役

ファイターズが抜けた穴をどう埋めるのか。札幌ドームでは初めての取り組みが予定されていました。アリーナを暗幕で仕切り、通常の半分ほどの2万人規模でイベントを行う「新モード」。3月30日、民間の利用としては初めてこの「新モード」で音楽ライブが開催されます。「新モード」は札幌ドームをコンパクトに活用できることから約10億円をかけて導入されました。

札幌ドームを半分に仕切る「新モード」

「今回のようなフェス、コンサートなどの音楽イベントに使えますし、ファッションショー、格闘技、展示会などでもご利用いただける。大黒幕の裏を活用するとか、物販販売とか、飲食店とかそういう形で利用できるスペースができる。札幌ドームで色んなイベントを体験していただいて、夢や感動、市民の活力になればいい」(札幌ドーム 営業部 藤田なおさん)札幌ドームを半分に仕切る「新モード」について市民は…。「無理でしょ。音響効果考えたら、仕切りつけているだけでコンサートする人も使いづらいのでは」「良いアイデアだと思うけど対応できないのでは。ニーズに合ったものが。(新モードでのイベントが)続けばいいなとは思いますけどね」(いずれも札幌市民)スタジアムの運営に詳しい専門家は…。「大黒幕の裏にあるだとか、シーンの切り替えとか、体験の切り替えみたいなところにうまく使えるんだったら、もしかしたら演出的に面白いのかな。今度のコンサート1回だけ見て成功した、失敗したということではなく、まずはその第一歩を踏み出せたということで、もっと工夫していければいいんじゃないかなと」(追手門学院大学 社会学部 上林 功 准教授)そしてもう一つ、札幌ドームが増収につなげたいと考えているのが「ネーミングライツ」です。希望価格は年間2億5000万円以上で、期間は2年から4年。

「ネーミングライツ」募集も

企業はドームに自社の名前や商品名をつけることで宣伝効果が期待できますが、2月末の期限までに応募はゼロでした。一方でエスコンフィールドは開業からこの1年で、26億円の営業利益を計上しました。「本音で話すと、別に私が札幌が憎い、施設が憎いわけではなくて、ただボタンのかけ違いがあったのはまぎれもない事実で」(前沢 取締役)札幌ドームと決別することになったボールパークの仕掛け人は、特別な思いがあるからこそとあえて厳しい言葉を口にしました。

好調なエスコンフィールド

「やっぱり運用の仕方もしくは経営の仕方はダメだと思う。全然ダメだと思う。ネーミングライツってこのエスコンフィールドもそうですけど、別に自分の会社は名前を売りたいからネーミングライツやるっていうのは、実は目的の半分以下。A社が札幌ドームのネーミングライツを買って、そのA社がどういう事業を札幌ドームでできるんですかって、ここまで踏み込まないと何億円のディール(取引)なんて決まるわけない」(前沢 取締役)不動産開発の「日本エスコン」はエスコンフィールドのネーミングライツを取得しただけでなく、ファイターズ、北広島市と共同で地域の開発に取り組んでいます。

札幌ドームの未来は

これが札幌ドーム活性化のヒントになるのでしょうか。「今こそ『あそこの地域全体として何が必要なの?』っていうふうな話を改めて問う必要がありますし、札幌という一つの大きな町で見た時に、あの場所に何があるべきかというふうな話を考えた方がいい」(追手門学院大学 社会学部 上林 功 准教授)札幌ドームは間もなく開業から23年を迎えます。市民の財産としてどう活用していくか。大きな岐路に立たされています。「この球場(エスコンフィールド)があるのも、このエリアがあるのも札幌ドームっていう施設がなければここはなかったんですよね。やっぱり忘れちゃいけない場所だし、20年間お世話になってファンの人たちもファイターズに対する愛着もあるけども、やっぱり施設に対する愛着もあるんで、このなんか複雑な心境をきちんとやっぱり人の力を持って解決すべきじゃないかと。人なんですよ。施設が悪いなんてことは基本ないです」(前沢 取締役)

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