山形市立図書館がJR山形駅東西自由通路に設けた「本のひろば」で、山形南高文芸部の生徒たちが、お薦め本を短歌で紹介する企画「三十一文字(みそひともじ)と一冊と」が始まった。お気に入りの本の感想を歌に込めて表現し、駅を利用する人たちに魅力を伝えている。
本のひろばは、昨年3月に開設され、さまざまなジャンルで常時100冊程度が本棚に並ぶ。毎月テーマを設け、山形にゆかりのある著名人らが本を紹介する企画も行っている。担当者は常駐しておらず、貸し出し手続き不要で、一度に2冊まで2週間程度、自由に借りることができる。
今回の企画に向け、市立図書館職員で、同館でも本を短歌で紹介する企画をしてきた佐藤紀之さん(66)が同校で指導。1、2年生16人の作品を5月30日まで3回に分けて展示し、初回は6人分が並んでいる。作家山崎豊子の「華麗なる一族」をテーマに「愛憎の渦巻く 金の阿片(あへん)窟 家族の葛藤 山麓に死す」と歌ったのは2年斎藤遼太郎さん(17)。「話の盛り上がりや主人公に思いを巡らせながら作った」と話す。
部長の2年小野遙士(はるひと)さん(17)は「印象に残った言葉を切り取り、限られた文字で魅力的な歌にするため工夫した。若い世代の人が本を手にするきっかけにしてほしい」と語った。
南高生のお薦めの本は、市立図書館で借りることができる。