使用済み核燃料中間貯蔵施設(青森・むつ市)、7~9月に操業開始 県、安全協定議論へ

宮下知事(左)に説明する高橋RFS社長(右端)と宗・東電常務=27日、県庁

 リサイクル燃料貯蔵(RFS)の高橋泰成社長は27日、青森県庁で宮下宗一郎知事に対し、使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)の事業開始時期を2024年度の第2四半期(7~9月)とする計画を明らかにした。宮下知事は核燃料の搬入に向けた安全協定締結へ「議論を進めたい」と協議に着手する意向を示した。

 RFSによると、操業に向けた安全対策工事を3月中、検査の大半を4月中に終えることで、設備面では使用済み核燃料を受け入れる態勢が整う見通し。

 核燃料を封入したキャスク(貯蔵容器)を中間貯蔵施設に搬入して最終検査に臨むには、県、むつ市、RFSの3者による安全協定締結が前提となる。県や市は6月ごろをめどに各議会で安全協定の内容を説明するほか、県内各地で県民向けの説明会も開く方針。締結後の最終検査を経て原子力規制委員会から「合格」が出れば事業開始となる。

 RFSは24年度上期(4~9月)の操業を目指していたが、工程を再精査した。27日にはキャスクを24年度(7月以降)に1基、25年度に2基、26年度に5基を搬入すると明示した貯蔵計画を、原子力規制委員会に届け出た。計8基(燃料集合体552体)は全て東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)から搬入する。

 RFS側の報告を受け、宮下知事は立地可能性調査から23年がたった-とこれまでの経緯を振り返り、「長い道のりだったが、操業も安全に確実に進めてほしい」と要請した。中間貯蔵事業は最長50年間、5千トンを一時保管する計画。同席した東電ホールディングス常務執行役の宗一誠・青森事業本部長は「5千トンの中長期的な計画は、まとまり次第示したい」とした。高橋氏、宗氏はむつ市役所で山本知也市長にも貯蔵計画などについて報告した。

 中間貯蔵施設は原発で使った核燃料を再処理するまでの間、空冷式のキャスクに入れて一時保管する。原発の敷地外に整備される国内初の施設となる。RFSは東電、日本原子力発電の2社が出資。1棟目に3千トン、建設予定の2棟目に2千トンを貯蔵する計画。

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