リーバーマン元米上院議員が死去、82歳 ユダヤ系初の副大統領候補

2000年のアメリカ大統領選挙で民主党の副大統領候補だったジョー・リーバーマン元上院議員が27日、ニューヨーク市で死去した。82歳だった。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースが入手した遺族の声明によると、死因は転倒に伴う合併症だという。

中道派のリーバーマン氏は1989年から2013年まで四半世紀近くにわたり、コネチカット州選出の上院議員として活動した。

2000年の大統領選では、民主党の大統領候補だったアル・ゴア氏により、ユダヤ系として初めて副大統領候補に指名された。

ゴア氏はリーバーマン氏の訃報に接し、「深く悲しんでいる」と述べた。

「選挙戦で彼と肩を並べることができて光栄だった」と、ゴア氏は声明で述べた。「アメリカのより良い未来を築くための、彼のたゆまぬ努力に、私は永遠に感謝し続けるだろう」。

遺族は声明で、「リーバーマン上院議員の神への、家族への、そしてアメリカへの愛は、公益のために尽くしたその生涯で途切れることはなかった」と述べた。

リーバーマン氏は長年民主党員だった。しかし、イラク戦争を支持するなど、党多数派と異なる意見を表明することがあった。2006年の上院議員選挙は無所属で出馬して当選した。これが最後の任期となった。

「政党より国を優先」

近年では、2024年大統領選にむけて、第3党の候補の擁立を目指す中道派政治団体「ノー・レーベルズ」の議長として知られていた。

同団体は27日に声明で、「リーバーマン上院議員は常に、政党よりも国を優先した、米政界で特異な人物だった」とした。

リーバーマン氏は先週の米ブルームバーグTVのインタビューで、そのことを明確に示した。

「トーマス・ジェファーソンはかつて、アメリカには時折、ちょっとした政治的反乱が必要だと語った。それは自然界における嵐と同じように、政治においても重要なはずだ」

「彼(ジェファーソン)は、枯れ木を一掃するという意味で言っていたのだと思う。我々の政治システムは今まさに、良い嵐と政治的反乱を必要としている」

著名なユダヤ系政治家

リーバーマン氏は1942年、コネチカット州スタンフォードに生まれた。同州の上院議員や検事総長を歴任し、1989年に連邦上院議員に選出された。

そこからアメリカで最も著名なユダヤ系政治家の一人としてキャリアを築いた。

2000年にゴア氏と組んで副大統領候補となったのは、ユダヤ系アメリカ人にとって画期的な出来事だった。リーバーマン氏は自身の信仰を公にしていた。

穏健な民主党員だった同氏は、党派を超えて高く評価された。

民主党の副大統領候補に指名されたリーバーマン氏だったが、2008年大統領選では、近しい友人だった、共和党の大統領候補ジョン・マケイン氏(アリゾナ州)を支持した。

マケイン氏はアメリカ初の黒人大統領となったバラク・オバマ氏(民主党)に敗れた。

2018年に発表された回顧録「The Restless Wave」で、マケイン氏は友人のリーバーマン氏を大統領候補に選ぶべきだったと振り返っている。

リーバーマン氏は上院議員として、いくつかの進歩的な政策も支持した。特に、LGBTQ(性的少数者)当事者が公然と軍務に就くことを禁じる、国防総省の「Don't Ask, Don't Tell」(聞かざる、言わざる)政策の廃止に貢献した。

「私自身のキャリアを振り返ってみると、私がその一端を担えたことを最も誇りに思っている立法上の成果は(中略)すべて、民主党と共和党の議員らがぎりぎり共通点を見出したからこそ達成できたものだ」と、リーバーマン氏は2012年12月の上院議員退任演説で語った。

(英語記事 Joe Lieberman, former vice presidential candidate, dies at 82

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