市文化財に2件追加へ 福島県いわき市 「伊勢屋所蔵文書2040点」と「波立寺のビャクシン(イブキ)2株」審議会答申

伊勢屋所蔵文書

 福島県いわき市文化財保護審議会は27日、「伊勢屋所蔵文書2040点」(有形文化財、江名字南町の個人所有)と「波立寺のビャクシン(イブキ)2株」(天然記念物、久之浜町の波立寺所有)をともに文化財に指定するよう市教委に答申した。4月に諮った後、正式に指定される。

 「伊勢屋所蔵文書」は江戸時代から近代にかけての文書。内容は①名主文書②浜方文書③海運文書④酒造文書⑤かつお節取引文書⑥湯長谷藩申し渡し―などが確認された。特に浜方文書には漁船や乗組員に関する取り決め、漁獲物の配分、五十集(いさば)商との対応、年貢米の積み出しなどの記録が含まれ、地域性を帯びた文書群として2014(平成26)年に市文化財に指定された。

 今回は追加調査で2040点が確認され、村方や寺社、信仰、文化、教育に関する史料が含まれ、江名地域を近世から近代まで通覧でき、海村研究の一助となるとされた。

 「波立寺のビャクシン(イブキ)2株」は樹齢500年以上。元々、県内ではまれな樹種で幹周りが2株とも5メートル近くあり、既知の現存木では最も大きい。隣接する自生地に由来すると考えられ、郷土樹種の遺伝子資源としても貴重であるとされた。

 答申は市役所東分庁舎で行われ、審議会の樫村友延会長が服部樹理市教育長に答申書を手渡した。市教委によると、市文化財の指定は今回の2件を含め計286点となる。

(いわき版)

波立寺のビャクシン(雄株)
波立寺のビャクシン(雌株)

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