「飼い犬との絆」がインスタで話題の鳥、野生当局が保護主から押収 豪で論議呼ぶ

豪クイーンズランド州で、保護され家庭で飼育されていたカササギを野生動物当局が押収し、論議を呼んでいる。このカササギと、一緒に暮らしていた犬との絆が、インスタグラムで注目を集めていたからだ。カササギを飼い主に返すよう訴えるキャンペーンが生まれており、州首相も28日、これに賛同すると表明した。

モリーと名付けられたカササギは、ひな鳥の時にクイーンズランド在住のカップルに保護された。その後、このカップルが飼っているブルテリアのペギーと、不思議な友情を結んだ。

現在では200万人以上が、ソーシャルメディアで「ペギーとモリー(Peggy and Molly)」のアカウントをフォローしている。

クイーンズランド州のスティーヴン・マイルズ州首相は28日、モリーは家族の元に戻るべきだと、当局とは異なる見解を示した。

「時には常識が優先されるべきだと思う。(中略)彼らのストーリーを見れば、より良い結果があり得るだろう」と、マイルズ州首相は語った。

モリーを飼っていたジュリエット・ウェルズさんとリース・モーテンセンさんは、今週初めにモリーを同州当局へと「手放した」と、感情をあらわに動画で報告。モリーを飼っていることについて、「一握りの人たちが定期的に苦情を」唱えていたことが原因だと説明した。

動画の中で2人は、「なぜ野生のカササギが自分で住む場所や一緒に過ごす相手を決められないのかと、当局に問い合わせているところだ」と語った。

5万人以上が嘆願書に署名

これを受け、これまでに5万人以上のファンが 「絆で結ばれた動物たち」の再会を求める嘆願書に署名した。モリーとペギーは過去4年間にわたり、一緒に動画に出演してきた。ある人は、モリーが「家族」である証拠として、ペギーのほえる真似をしたことを挙げた。

同州の環境・科学・革新局(DESI)は、「モリーに対する地域社会の関心」は認めるとしながらも、カササギは家で飼う生き物ではないので、飼育は「リハビリ」が目的の一時的なものに限られるべきだと警告。

「このカササギは現在、DESIの保護下にある。残念なことに、このカササギは人間との接触に非常に慣れてしまっているため、野生に戻すことはできない」と、同局の報道官は説明した。

ウェルズさんとモーテンセンさんは、保護していなければモリーは「確実な死」に直面していたと主張。今後も返還を求める活動を続ける考えを示した。

オーストラリアのカササギは、30年近く生きるものもあり、国の生態系に不可欠な在来種として保護されている。

(英語記事 Molly the magpie: Australia debates seizure of Insta-famous bird

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