【大阪杯/全頭診断】強い5歳世代一角に「2.3.0.2」 混戦断つ“馬券内率71%”データ

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今週は阪神競馬場で、第68回大阪杯(GI、芝2000m)が行われる。ドウデュース、スターズオンアースら国内のトップ級がドバイに活躍の場を求めたことで混戦ムードが漂う今年。4歳世代の取捨選択がカギとなりそうだ。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬16頭の全頭診断を行う。

◆【大阪杯2024特集】出走予定・枠順、予想オッズetc.「タスティエーラvs.ソールオリエンス」 お役立ち馬券攻略ガイド

■大阪杯2024 出走予定馬全頭診断

・エピファニー

3歳時から素質の一端を覗かせていた馬が、前走で初重賞制覇。6勝中4勝が小回りコースと、立ち回りの上手さで勝負するタイプだ。とはいえ今回は例年との比較でメンバー落ちとはいえ、GIが舞台。当時の再現を望むのは酷に映る。

・カテドラル

GIIIですら掲示板外が続く現状。厳しい。

・キラーアビリティ

海外重賞で連対をはたした前走。額面通りに受け取れば好結果と捉えられるが、お世辞にもレベルの高いメンバー構成とは言えないものだった。海外遠征帰りの今回は中間の調教も疲れを考慮したような軽めの内容。GIを戦ううえで攻めた稽古ではなく、強調材料は乏しい。

・ジオグリフ

前走中山記念で皐月賞以来の馬券内確保。内枠からロスなく立ち回れたこと、稍重と時計のかかる馬場になったことが好走の後押しとなった印象だ。翻って、日曜阪神は良馬場想定。1分58秒台の決着で好走のイメージはなく、突き抜けるには厳しい印象だ。

・スタニングローズ

この馬で強調したいのは血統面。阪神芝2000m×母父クロフネのGI成績は【2.3.0.2】、馬券内率71%とハイスコアを誇っているのだ。クロノジェネシスやレイパパレ、7番人気2着ステファノスもこの血統に該当し好走。当舞台で施行された秋華賞ではナミュール、スターズオンアースのドバイ組に先着しており、2戦2勝の得意距離替わりも含めて侮れない1頭と言える。

・ステラヴェローチェ

長期休養明けから3戦目で勝利を飾った前走。リステッド競走のメンバーにも恵まれたとはいえ、早熟で終わらせなかった馬の成長力と陣営の我慢は称賛されてしかるべきだろう。とはいえ1000m通過58秒6の淀みない流れを楽に追走し、直線半ばで外側にヨレるようなシーンがあったことから、今となっては1800mがギリギリの印象。2000mへの距離延長で前走の再現は厳しいだろう。

・ソールオリエンス

クラシック戦線での実績から1番人気に支持された前走中山記念。結果は4着も、前残り決着を4角12番手から上がり3F最速なら及第点をつけられそうだ。この中間は調教パターンを変更しており、関西遠征が控えているにもかかわらず負荷の強いウッド3頭併せを敢行。5F65秒7は中山記念時の68秒1との比較で大幅に速いラップだ。芝2000mは【2.0.0.0】と負け知らず。4歳世代の評価が揺らいでいる今こそ狙うタイミングなのかもしれない。

・タスティエーラ

デビュー戦を最後に1番人気に支持されたことのない馬。ほとんどのレースで騎手が乗り替わっているように、ダービー馬にしては扱いが雑に映るが……それでもコンスタントに馬券内を確保している安定感は魅力と言える。ただ、この馬で気になるのは道中通過順。他馬を置き去りにする瞬発力に欠ける馬が道中10番手前後にいてはまず勝てない。ここも1着のゾーンに据えるには躊躇してしまう。

・ハヤヤッコ

前走金鯱賞は勝ち馬と1秒以上離されるレース。GIでの馬券内突入は至難の業か。

・ハーパー

皆勤賞だった昨年の牝馬クラシック戦線。リバティアイランドという怪物相手には成す術がなかったものの、古馬混合GIを含め大負けしなかった安定感には一定の評価を与えるべきだろう。GI昇格後の過去7年大阪杯において、上がり3F4位以下の馬は5勝。先行力がある反面、切れ味に欠けるこの馬向きのレースという見方もできるだろうし、侮れない1頭だ。

・プラダリア

重賞での馬券内は芝2200m以上に限定。京都芝外回りに東京と、直線の長いコースに好走が集中している点から阪神芝2000mへの舞台適性には疑問符がつく。

・ベラジオオペラ

この馬で強調したいのは良馬場適性。スプリングSまでは道悪適性のほうが強調されていた印象だったが、良馬場の成績【2.1.0.1】、唯一の馬券外は勝ち馬とタイム差なしの日本ダービーだ。距離延長にもかかわらず道中通過順が下がった前走京都記念は気がかりも、得意の馬場想定を考ええれば印は必要だろう。

・ミッキーゴージャス

条件戦から3連勝で重賞制覇を飾った前走。1000m通過57秒4の激流をマクリ→4角2番手から押し切ったのだから立派と言える。ただ、当時は斤量54キロの恩恵もあったレース。強力な牡馬相手に揉まれた経験に乏しく、GI即通用は至難の業か。

・リカンカブール

前走中山金杯は枠なりに終始ロスなく立ち回った鞍上のファインプレー。斤量56キロもプラスに働いた印象だ。2着馬との差も強調できるものではなく、連続好走へのハードルは高いと言わざるを得ない。

・ルージュエヴァイユ

エプソムカップからエリザベス女王杯まで重賞で3戦連続2着。一躍トップグループに浮上した5歳牝馬だ。一連の実績から2番人気に支持された京都記念はふがいない結果も、当時は冬競馬でプラス10キロの馬体重増が影響した印象。叩き2戦目の成績【1.2.0.0】も含め、何らかの印は必要か。

・ローシャムパーク

昨年は函館記念→オールカマーと重賞連勝。なかでもタイトルホルダー、ゼッフィーロといった昨年のGI好走馬を下した2走前は本格化をアピールする強い内容だった。確たる中心馬不在のここは人気上位が予想されるが、GI昇格後の大阪杯において、関西圏の出走がない関東馬は【0.0.0.10】。個人的には宝塚記念で狙いたい馬でもあり、思い切って“消し”の選択肢も視野に入れておきたい。

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UMAJIN.netより一部編集・転載(2024年3月28日 18:01公開の記事

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。

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