運転手不足の波は離島にも…種子島空港バスが今月末で廃止 コロナ以降は赤字続き

種子島空港と島内1市2町を結ぶ2台の空港バス=中種子町の同空港

 種子島空港(鹿児島県中種子町)と島内1市2町を結ぶ空港バスが30日で廃止されることが1日までに分かった。運行する和人グループ(南種子町)によると、運転手の不足や高齢化、採算割れなどが理由。同社が2町から委託されたスクールバスや地域コミュニティーバスの運行は継続する。

 空港バスは現在の種子島空港が開港した2006年に運行を開始。西之表市街地に向かう西之表線と、中種子、南種子両町を通る南種子線の2路線をそれぞれ4往復している。

 行政や運送事業者、住民代表者らでつくる種子島地域公共交通活性化協議会が2月27日、廃止を了承した。代替交通手段として、予約制乗り合いタクシーの導入を検討していく。

 協議会事務局によると、19年度まで2路線合計の利用者数は4000~5000人超で推移。新型コロナウイルスの影響で20、21年度は2000人を割り、22年度は3122人だった。1市2町が1000万円を上限に赤字補填(ほてん)しているが、それを上回る赤字が続いていた。

 県内では近年、運転手不足などによるバス路線の廃止や減便が相次ぐ。特に車社会の離島では新型コロナの影響で入り込み客が激減したこともあり、路線バス事業の継続が難しくなっている。

 和人グループは「空港線廃止で他路線の乗務員の休日をいくらか確保できる。種子島の公共交通機関としての使命を果たすべく努力していく」とコメントした。

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