辰年の「とっとリュウ県」 ドラゴンズファンも必勝祈願  日本一の竜、雄叫び響く 

拝殿天井にある竜の彫刻=鳥取県琴浦町赤碕、神崎神社

 干支(えと)の辰(たつ)年にちなみ、竜ゆかりのスポットがある鳥取県琴浦町に観光客が押し寄せている。町観光協会によると、拝殿の天井に日本一長いとされる竜の彫刻がある神崎神社(琴浦町赤碕)への参拝者は「例年の10倍以上」という。プロ野球の中日ドラゴンズファンが祈願に訪れるケースもあるとみられ、県は「とっとリュウ県」と称して中京圏からの誘客に力を注ぐ。

◆天から降り注ぐ竜パワー

 注目を浴びる神崎神社は、拝殿の天井に全長16メートルの竜の彫刻がある。ダイナミックで躍動感あふれる一方、うろこまで緻密に表現されており、見物した参拝者を圧倒する迫力だ。

 神社によると、2012年の辰年に、彫刻の竜が持っている玉「宝珠」に向かって手を伸ばしてエネルギーをもらおうとする若者が出現し、口コミで広がってパワースポットとして知られるようになったという。その後、神社は宝珠の真下だと分かるように目印を付けた。

 24年の三が日は、境内が参拝者で埋め尽くされるほどの大盛況。休日は全国各地から旅行者が訪れており、中日ファンも含まれるとみられる。山崎制義宮司は「これまで経験したことがないくらい参拝者が多い」と驚く。

 琴浦町観光協会によると、神崎神社に立ち寄るツアーバスの予約件数は、23年に36件だったのに対し、24年1~11月で310件(6日時点)となっている。中京圏や関西などから幅広く訪れている。

◆まだある竜ゆかりのスポット

 県内の竜ゆかりのスポットは神崎神社だけではない。竜の天井画がある清元院(琴浦町宮木)、人気から揚げ専門店「昇龍軒」(八頭町郡家)などもある。

 山陰海岸ジオパークの一角にある山陰最大級の海食洞窟「龍神洞」(岩美町羽尾)は、風と波の音が響き合い、龍神の雄たけびのように聞こえるとされる。透明度の高い海水も相まって神秘的な雰囲気を醸し出し、カヤックやサップの人気スポット。浦富海岸で遊覧船を運航する山陰松島遊覧が5月から特別クルーズを実施する。

◆鳥取県が「とっとリュウ県」と自称

 23年はうさぎ年と絡めて情報発信に取り組んだ鳥取県が黙って見ている訳がない。24年は県の形が竜に似ているとして「とっとリュウ県」と自称し、PRに乗り出した。

 県は認知度を上げる好機と捉え、ホームページに県の形を竜のイラストにした画像を公開し、特設サイトを開設。竜ゆかりのスポットを紹介するほか、デジタルスタンプラリーやインスタグラムでのキャンペーンを展開している。

 名古屋市に本拠地がある中日ファンをはじめ中京圏からの誘客に結びつけようと若手職員3人でつくるキャラバン隊「チームドラゴン とっとリュウ」を結成し、中京圏の民放や新聞社計5社を訪問してメディアへのPR活動を実施した。

 県広報課の谷口健一課長は「県内観光地の掘り起こしや情報発信につなげ、県のイメージアップを図る」と意気込む。

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