小松ライドシェア 避難夫婦がドライバーに 山下政昭さん・仁美さん「被災者の足に」

宮橋市長(右)の激励を受ける山下政昭さん(中央)、仁美さん=小松市役所駐車場

 輪島市門前町で被災して小松市に移り住んだ夫婦が、同市で始まった自治体ライドシェアのドライバーとしての一歩を踏み出した。山下政昭さん(65)と妻の仁美さん(50)で、28日、市役所で宮橋勝栄市長から激励を受けた。2次避難者は無料で利用できる仕組みで、政昭さんは「困っている被災者の足になれればうれしい」、仁美さんは「将来は能登でも経験を生かしたい」と意気込みを語った。

 2人は被災後、輪島市門前中と金沢市内での避難を経て、2月から親戚が所有する小松市内のマンションで、小学4年の娘、仁美さんの母とともに暮らしている。政昭さんは輪島市の老人ホームを休職中、仁美さんは輪島市内の別の老人ホームを退職しており、小松市職員の勧めもあり、ライドシェアへの参加を決めた。

 ドライバー登録には、交通空白地有償運送運転者講習の修了証が必要で、2人は20日に講習を受けた。市によると、小松の修了証は、将来的に能登でも同様のライドシェアが始まった場合、活用できるという。

 28日、市役所でライドシェアの運行管理を委託されているタクシー会社からスマートフォンを通じて「遠隔点呼」を受け、呼気にアルコールが含まれないことなどを示した。その後、駐車場で運行に使う車両を点検した。宮橋市長は「能登で被災した皆さんの心の支えになってほしい」とエールを送った。

  ●市の担当者が同乗

 「土地勘がないのが心配」と車を出した政昭さんだったが、仁美さんとともに市内の温泉旅館に2次避難している計5人を無事送り届けたという。しばらくは市の担当者が同乗する。

 市は毎週木金土曜の午後5時~午前0時にライドシェアを実施しており、ドライバー登録を希望する2次避難者には講習を受けるよう後押しする。

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