栃木県、計8385万円の返還命令 コロナ検査で補助金の不正申請、2事業者に

栃木県庁

 新型コロナウイルスの無料PCR検査事業を巡って補助金の不正申請があったとして、栃木県は28日、「メディトランセ」(東京都)と「日本メディカルエステ協会」(埼玉県)の医療関係2事業者に対し、補助金計約8385万円の返還命令を同日付で行ったと発表した。全国で同事業補助金の不正申請が相次いでおり、県内では初めて。

 県によると、メディトランセには宇都宮市内で21年12月~22年10月に実施したとされる検査4269件を対象に、約4730万円の返還を求めた。県は申請に基づき同社に補助金を交付したが、検査は同社の取引先の事業者が行っており、実績を裏付ける証明書類も提出されていないという。

 同社は他県でも返還命令を受けている。取材に対し、同社は「会社名を勝手にかたる事業者がやっており、不正には一切関与していない。県に対して訴訟も視野に対応したい」としている。

 日本メディカルエステ協会は、実績の証明書類の多くを提出していなかったほか、正当な理由がなく従業員が1日に複数回検査を行っていたことなどが確認されたという。同市内で22年8月~23年3月に実施したとされる検査3769件が対象で、約3655万円の返還を求めた。

 全国の不正申請を受け、県が昨年11月から調査していた。県は「補助事業で不適切案件が出たのは残念」としている。

 同事業は国が21年12月~23年5月に実施。県内では260拠点で計27万件の検査が行われ、県は事業者に計17億円を交付した。

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