障害にとらわれない教育推進へ 栃木県教委が専門人材を配置 各校巡回指導や研修、新年度から

県教委が入るビル

 障害の有無にかかわらず子どもたちが共に学校生活を送る「インクルーシブ教育」の推進に向け、栃木県教委は2024年度、教育事務所2カ所にエリアコーディネーターを配置する。発達障害があるなど特別な配慮が必要な子どもの指導方法を学校間で共有する連絡協議会の運営に加え、各校の巡回指導や市町教委への研修を行う。特別支援教育に詳しい人材を配置し、多様な特性を持った子どもを地域で育てられる体制づくりにつなげる。

 県によると、障害などがあり県内の小中学校特別支援学級に在籍する児童生徒は、23年5月1日時点で計5795人。また、22年の文部科学省の調査では小中学校の通常学級に学習や行動面で困難がある児童生徒が8.8%在籍すると推定されている。

 県内7カ所の教育事務所のうち、24年度は2カ所にコーディネーターを1人ずつ配置する予定。特別支援教育に関する幅広い知識を持つ元教員などを想定している。

 県教委によると、特別な配慮が必要な児童生徒が進学する場合、個別の教育支援計画を作成して学校間で必要な支援を引き継いでいる。計画の共有方法はさまざまで、書面で行うケースもあるという。

 このため、コーディネーターのいる教育事務所に連絡協議会を新たに立ち上げ、中学校、高校の教員同士が対面で支援計画を基に話し合い、指導方法や必要な配慮をより深く共有できるようにする。進学先での様子なども報告し、適切な支援につなげる。

 各校の指導力強化に向け、コーディネーターが担当する教育事務所管内の小中高校を見回り、指導方法などを助言する。学校全体で支援ができるよう、管理職に対して校内体制の構築も提案する。

 特別支援教育の理解促進を図るため、市町教委や教職員を対象にした研修も行う。県教委特別支援教育課は「共生社会の実現に向けた教育を充実させていきたい」としている。

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