宮城野部屋力士が伊勢ヶ濱部屋に転籍「相撲がおもしろくなくなる」「もったいない」相撲ファンのため息

3月場所で尊富士が110年ぶりの新入幕優勝を果たすなど、伊勢ヶ濱部屋の勢いは止まらない(写真・馬詰雅浩)

北青鵬(引退)による暴力問題と「師匠としての資質」が問われ、部屋存亡の危機に立たされている、元横綱白鵬が率いる宮城野部屋。日本相撲協会は3月28日に処遇を決定した。

「部屋の消滅という最悪の事態はとりあえず免れましたが、宮城野親方と所属する約20人の力士は、同じ一門の伊勢ヶ濱部屋に転籍することになりました。転籍する期間は決まっていません。同じく一門の浅香山親方も一緒になり、宮城野親方と力士たちの指導にあたります」(スポーツライター)

ひとまず再出発の体制は整ったようだが、角界ファンの間では「このままでは、相撲がおもしろくなくなる」とささやかれている。どういうことなのか。

「部屋の力士は家族・兄弟と同然ですから、優勝決定戦以外、本場所で対戦することはありません。かつて九重部屋の千代の富士と北勝海、二子山部屋の貴乃花と若乃花が、優勝決定戦で対戦したことがありました。このとき、横綱だった貴乃花は『やりにくかった』と苦笑していました。

伊勢ヶ濱部屋は横綱の照ノ富士を筆頭に、東前頭2枚目の熱海富士、東前頭5枚目の翠富士、東前頭14枚目の錦富士、そして3月場所で新入幕優勝を果たした東前頭17枚目の尊富士(たけるふじ)など、幕内だけでも5人の力士がいます。しかも毎場所、誰かしらが優勝争いに加わっています。この“伊勢ヶ濱王国”を崩すために各部屋が切磋琢磨しているので、本場所での対戦が盛り上がるのです。

宮城野部屋にも、引退した北青鵬を筆頭に、怪我で十両に落ちましたが西十両13枚目の伯桜鵬、西幕下筆頭の天照鵬がいて、伊勢ヶ濱部屋の力士たちを苦しめてきました。しかし今後は『熱海富士対伯桜鵬』『尊富士対伯桜鵬』『翠富士対伯桜鵬』など、相撲ファンが楽しみにしている取り組みはなくなります。残念ですね」(相撲ライター)

SNSにも《相撲ファンとしては、本場所で宮城野部屋の力士と伊勢ヶ濱部屋の力士の取組が見れなくなるのも痛い》《熱海富士と伯桜鵬とか、尊富士と伯桜鵬とかは対戦しない…って、どうなの?》《伯桜鵬が幕内に戻っても、尊富士とか熱海富士との対戦が見られないの? もったいないなあ…》などの声があがっていた。

こうなってしまうと相撲ファンも興醒めだ。ほかの部屋の力士の奮起に期待したい。

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