【渡邉聡さん(こばり坂クリニック/院長)】“地域医療からアルビまで、新潟の整形外科を担っていく”


【プロフィール】
渡邉 聡(わたなべ さとし):千葉県出身。新潟大学医学部への入学を機に新潟へ。大学のサッカー部時代に、整形外科医を志す。県内の病院に勤務後、アメリカへ留学。帰国後、新潟大学附属病院助教を経て、新潟医療センター整形外科部長を12年間務め、2023年11月にこばり坂クリニックを開院。2015年からはサッカーJ1アルビレックス新潟のチーフドクターも兼務している。


ガタチラスタッフ:『新潟人194人目は、「こばり坂クリニック」の渡邉院長です!渡邉先生が医師を目指したきっかけや「こばり坂クリニック」開院への想いなど様々なお話をお聞きしました!素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』

父の影響を受けて医師の道へ

──ご出身は千葉県なのですね!

渡邉さん:進学と同時に新潟県に来ました。それ以降、ずっと新潟ですね。自然環境も人も食も大好きで、大学を卒業する際も、あまり悩まずに「新潟で働こう」と決めました。

──医師を目指したきっかけを教えてください!

渡邉さん:父も医師で、その姿を子どもの頃から見ていました。「医師になれ」と言われたことはありませんが、「どんな時代でも人助けができるのは医師だけだ」という父の言葉が一番印象に残っています。「たとえ戦争が起こったとしても、医師は人助けの仕事が続けられる」と。今考えれば、父の影響は大きかったと思いますね。

──様々な分野がありますが、整形外科を選ばれたのはなぜですか?

渡邉さん:大学時代、サッカー部に所属していて、部の先輩に整形外科が多かったんです。私もスポーツが好きなので、仕事で関われる分野として整形外科が魅力的だったというのも大きいですね。

地域医療とスポーツ医学の両立へ

──クリニックを開院したきっかけは何ですか?

渡邉さん:医師になって20年が過ぎ、やりたいこともハッキリしてきた中で「実現するには独立した方がいい」と考えました。地域が高齢化していく中で、“地域医療とスポーツ医学を両立させる”ためには、どちらか一方に限らず自分のメリットを生かせるように工夫したいと思いました。

──地域医療とスポーツ医学は共通しているのですか?

渡邉さん:共通していないように見えますよね。スポーツ選手のリハビリ内容は、やり方や強度を変えれば年配の方にも有効なリハビリになります。体の構造は、スポーツ選手も一般の人も同じですからね。クリニック名に“スポーツ”という言葉を入れなかったのは、「その境界線を作りたくない」と考えたからでもあります。

──スポーツ診療も、学生からプロスポーツ選手まで幅広いのですね!

渡邉さん:アルビレックス新潟のサポートもしているので、ケガをした選手のケアやメディカルチェックも当クリニックで行っています。だから、待合室に選手が入ってくることもありますよ!(笑)

──憧れの選手が入ってきたら、「おおっ」ってなりますね(笑)。

渡邉さん:そうですね(笑)。選手は求めるものが高いので、信頼を得るには要望に応えなければいけません。そのために正確な診断と治療方針を明確に示す必要がありますが、一人では難しい面もあるので、“他のドクターやスタッフと連携してグループ医療で治す”という意識は大事にしています。

当クリニックには、同じ志を持つ優秀な理学療法士が在籍しているので、そこの考えは共有しています。選手の体はスポーツカーのようなもので、扱いも慎重になりますしデリケートな面もありますが、日頃から鍛えているので治りも早く、意識も高いので治療への反応も良いです。完治した時の喜びや達成感はひとしおですね。

──高齢者やプロスポーツ選手など、それぞれに合った医療を提供するのは大変ではないですか?

渡邉さん:選手の怪我の経過をみて、「これくらいで治る」「こうすればよくなる」ということが分かっていれば、それを少し嚙み砕いて、「学生なら」「年配の方なら」という風に応用できます。理想形があることで判断材料となり、ひとり一人に合わせていくことができるんです。

そこに気づけたのは選手のおかげですね。例えば、学生や年配の方に「プロ選手でも治るまでこれくらいかかったんだから」という具体的な話をすると、先が見えなくて不安だった気持ちが払しょくされて、納得してくれるし説得力がありますよね。

正しい方向へ導くタグボートとして

──クリニックとして大事にしていることは何ですか?

渡邉さん:選手であれば、「ケガ予防→治療→競技復帰」という流れを最後まで継続してシームレスに診ていくということです。地域の方には、そこで得られたノウハウを還元して、“皆さんの健康寿命を伸ばすことに生かす”ということですね。

──ロゴマークはなぜ船なのですか?

渡邉さん:これはタグボートなんです。港に大きな船が入ってくる時、小さなタグボートが誘導して正しい位置に連れて行くように、“ケガをした人を我々が治療して水先案内人になる”という意味を込めています。人間が本来持っている“自分を治す力を引き出していきたい”ですね。

──これまでで印象に残ったエピソードを教えてください!

渡邉さん:学生時代にケガをし、治療とリハビリをして競技復帰された患者さんが「プロになった」と挨拶に来てくれたりするのは本当に嬉しいですね。また、ケガで苦しんでいた子が、「今度は自分がトレーナーや理学療法士になって、サポートする側になりたい」と話してくれることもあって、こちらの熱意が伝わった気がします。そういう子はケガをした選手の苦しみもよく分かっているので、選手の気持ちに寄り添える医療者になれると思います。

──アルビレックス新潟のチーフドクターも務められていますね!

渡邉さん:チームドクターは全国各地に8人程いますが、普段はメディカルスタッフ4人が毎日のケアをしています。試合に同行するのはもちろん、選手のメディカルチェックや選手の家族のケアもしています。チームだけでなく、スタッフも同じ方向を向いていないとうまく回らないので、一人ひとりが適材適所で輝けるように配慮するのが私の大切な役目だと思っています。

──今後の目標を教えてください!

渡邉さん:クリニックのスタッフがスポーツの現場へ出向いて、関係を深めながらサポート体制を構築していきたいです。当クリニックを利用された患者さんは、「今度アルビの試合を観に行ってみようかな」と言ってくださることもあるので、アルビレクッス新潟の認知を広める役割も担えたら嬉しいですね。

──最後に、地域に根付いたクリニックとして、渡邉先生がおすすめする地域のお店を教えてください!

渡邉さん:クリニックのすぐ近くにある「とり割烹 鳥仙」です!クリニックには会議室がないので、会議室(食事)として利用しています(笑)開院するための準備の会議も同店で行ったんですよ。どの料理も美味しいものばかりなので、ぜひ足を運んでみていただきたいです!

クリニックの紹介

「地域医療とスポーツ医学の融合」をコンセプトに、午前中は中高年齢者に対する一般整形外科を中心に診療し、午後はアスリートや学生選手に対するスポーツ外来を行っています。

2階の一部設備をご紹介(2024年3月21日時点)

●高圧酸素ドーム(自由診療のみ2,000円)

新潟県内第1号となる1.9気圧高圧酸素ドームを導入しています。30~60分程度ドームに入ることで、疲労回復やケガ後の回復促進につながるため、選手には外傷の初期治療、一般の方にはアンチエイジングにお勧めしております。

●アクアタイザー(1回500円/自由診療枠でも可能)

リラクゼーションに向けたゆっくりとした動作からダイナミックなマッサージまで、水の圧力による多彩な手技治療が可能なウォーターベッドです。柔らかく、気持ち良いマッサージが特徴で、腰痛や背中に痛みがあるかたにおすすめです。

●エアロバイク

●パワープレート®

前後・左右・上下と振動するプレートに乗るだけで、あらゆる方向から身体に刺激をかけることができ、身体機能の向上や身体的な疲労の回復を早める機械です。

【こばり坂クリニック】
住所:新潟市西区小針上山10-34
電話:025-378-2311
診療時間:月・火・木・金曜日9:00~12:00/16:30~19:30、水・土曜日9:00~12:00
(受付時間8:45~11:30、16:15~19:00)
休診日:水曜日、土曜日の午後、日曜祝日、年末年始、お盆
駐車場:有(18台)
公式ホームページ:https://www.mc-ibis.or.jp/kobarizaka/

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