「存続か、撤去か」 補修に数十億円、米子市が試算 国の登録有形文化財「日野橋」

日野橋

 米子市内の日野川に架かる国の登録有形文化財「日野橋」の在り方検討委員会の初会合が28日、市役所であった。白い六つのアーチが特徴で「歴史的景観」として市民にも親しまれるものの、1929年の供用開始から95年が経過。市は数十億円規模の補修費を見込んでおり、伊木隆司市長は「存続か、撤去か、踏み込んだ議論をする時期に入った」と述べた。

 市は、塗装塗り替えを含む補修費用を約12億円と試算。塗膜部分から有害塗料の低濃度ポリ塩化ビフェニール(PCB)が検出されており、存廃にかかわらず環境省基準に基づき2027年3月末までに除去しなければならず、除去を含めると補修費用は最大20億円程度に膨らむ。補修後も、5年後、20年後、40年後の修繕などでその都度「数十億円が必要」と想定する。

 橋の通行は徒歩や自転車、バイクに限られ、下流に架かる国道9号の「新日野橋」で代替できるものの、撤去すれば市のシンボルの一つの大山をバックとする景観が失われる。

 検討委は学識経験者、国、県の担当者、住民代表ら10人で構成し、多額の維持管理費、文化財としての価値などを踏まえて議論。初会合で鳥取大工学部の福山敬教授(都市計画)を委員長に選び、現地視察もした。次回は7月中旬ごろ開催し、年内をめどに意見をまとめる。

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