JR北海道の根室線「富良野-新得」間が3月末で廃線 ドラマや映画の舞台になった駅も …元国鉄マンが惜別 「生まれた時から線路のそばで育った」

3月末でJR北海道の根室線「富良野-新得」駅間、81.7kmが廃線となります。その中には、ドラマや映画の舞台となった駅もあります。

映画のゆかりの衣装や小道具の展示

廃線を前に全国から大勢の鉄道ファンが訪れています。「旧国鉄の路線は全部乗った。北海道も一周している。もう一度、最後に乗りたくて来た。とても寂しい」(岡山県からの観光客)富良野駅の隣、布部駅です。田中邦衛さんが出演したドラマ「北の国から」で、主人公たちが降り立った駅として知られています。駅舎の前にはドラマを記念した碑が建てられています。「ドラマの登場人物の五郎さんになってしまう。ここに来ると、しゃべり方が田中邦衛さんになってしまう。」(埼玉県からの観光客)布部駅の開業は1927年。周辺の森林資源開発などのためでした。富良野市によりますと、廃線後の駅舎の活用については未定だといいます。南富良野町にある幾寅駅も、駅舎が映画の舞台となりました。「高倉健さんの『幌舞』と駅名を言うせりふが、何度聞いても涙が出そうになる」(兵庫県からの観光客)高倉健さんが主演の「鉄道員(ぽっぽや)」では、架空の幌舞駅として描かれました。現在は衣装や小道具が展示されています。

幾寅駅の駅舎の観光資源化

町の観光協会の事務局長で、駅舎の管理を行っている小野寿樹さんは。「映画の中の廃線になるというストーリーが、今まさに現実となる瞬間なので非常に寂しく思う。町がさびれてはならない。これからも元気よく、この町を活気づけていく一歩にしたい」(南富良野まちづくり観光協会 事務局長 小野 寿樹さん)幾寅駅の駅舎は南富良野町がJRから譲渡を受け、観光資源として活用することが決まっています。

廃線まで残り2日

JR根室線は滝川市と根室市を結ぶ440kmあまりの路線です。今回廃線となる区間は、かつては札幌市と北海道東部を結ぶ大動脈でした。しかし、1981年に石勝線が開通したことにより、その役目を終えました。2016年には台風の被害を受け、「東鹿越-新得」駅間は現在も代行バスが運転されています。高橋二三雄さんは19歳から幾寅駅などで25年間、国鉄で線路の保守点検の仕事をしていました。「今でも当時のことを夢に見て『汽車が来たぞ』と、とんでもない時間に目が覚めることがある」(元国鉄職員 高橋 二三雄さん)今も幾寅駅を訪れては当時のことを思い出します。「生まれた時から線路のそばで育った。70年間ずっと鉄道の音は耳についている。それが聞こえなくなるのは非常に寂しい」(元国鉄職員 高橋 二三雄さん)廃線まで残りわずか。さまざまな思いを乗せて列車は走ります。

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