世界自然遺産の島、首都圏からジェット機でひとっ飛び 屋久島空港の滑走路延伸、事業化決まる 国交省が調査費5000万円

滑走路延伸が決まった屋久島空港。現在はプロペラ機のみ就航する=2月28日、屋久島町小瀬田

 屋久島空港(鹿児島県)の滑走路延伸計画で、国土交通省が2024年度予算に調査測量費約5000万円を計上し、事業化を決めたことが29日、関係者への取材で分かった。滑走路を2000メートルに延ばし、ジェット機就航を可能にする。

 総事業費は旅客ビル拡張など民間事業を除いて約165億円を見込む。事業期間は24~33年度の10年間の予定。空港を管理する県は今後、国に空港施設変更の許可手続きを行う見通しだ。

 屋久島空港は現在、鹿児島、福岡、伊丹(大阪)の3空港との間をプロペラ機が運航する。計画では、現行1500メートルの滑走路を奄美空港と同等の2000メートルに延ばすとともに、駐機場を拡張。定員160~180人程度のジェット機が離着陸できるようにする。滑走路の北西側への延伸に伴い、屋久島町役場付近で県道の付け替えが生じる。

 世界自然遺産の屋久島は、国内外の観光客に人気がある一方、首都圏や海外から訪れる場合、鹿児島空港や鹿児島港を経由する必要があり、アクセスに課題がある。ジェット機就航は地元の「悲願」で、県や屋久島町は、これまで国に早期事業化の要望を重ねてきた。首都圏との直行便就航を目指し、観光客増加や物流改善を図る。

 県は環境影響評価(アセス)の最終まとめとなる「評価書」の縦覧を26日から開始。評価書によると、整備工程は1~2年次は測量や設計、3年次から工事開始を想定する。

〈関連〉屋久島空港の位置と滑走路延伸部分を地図で確認する

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