「御史(オサ)とジョイ」勧善懲悪ストーリーで幕引きかと思いきや……!15~16話レビュー【韓国ドラマ】

「御史(オサ)とジョイ」は2021年、韓国のtvNで放送されたテレビドラマ。悪事を暴く正義とトキメキの捜査劇です。NHK BS・NHK BSプレミアム4Kで2023年12月より、日曜よる9時〜放送されました。全16話の作品の15〜16話のレビューをお届けします。
※ネタバレにご注意ください

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「暗行御史(アメンオサ)のお出ましだ~」で登場したイオン(テギョン)が、地方で悪事を働く役人を懲らしめるところからスタートしたこのドラマ。世子暗殺の真相を突き止め、本命の大悪人を捕らえる勧善懲悪ストーリーで幕引きか、と思いきや……。ラストは、イオンとジョイ(キム・ヘユン)が“ほんとうの幸せ”を求めて実現したハッピーエンディングが待っていた。

世子殺しの黒幕が最高位官職にあるパク・スン(チョン・ボソク)だと確信したイオン。あとは、証拠を揃えるだけだ。

証拠の1つめは、治腫医の形見から見つかった世子毒殺を裏付ける薬湯の処方箋。2つめは江華島でテソ(イ・ジェギュン)から預かった、パク・スンと治腫医が交わした毒殺口外無用の誓約書。残る1つは、イオンの説得で改心し、罪を償うと決めたテソの自白。イオンの告発準備は整った。

ところが。パク・スンが新たに領地権を得た江華島をともに訪れた息子ドス(チェ・テファン)は、自白に出向こうとするテソを見つけ、背後から斬り殺す。ドスはとことん卑怯者だ。

この直前、嫡子の自分をドスとすり替えた母を赦し、愛と感謝を伝えて別れを告げていたテソ。だが、死にゆく自分に一瞥をくれて立ち去る父パク・スンに、虫の息で「父上……」とつぶやく。父の愛を求めた人生がフラッシュバックして絶命するテソの無念。せめて、テソの口から父に「自分が嫡子で、庶子はドスだ」と真実を告げさせたかった。テソはとことん不憫だ。

テソの死を知ったイオンは最後の手段に打って出る。実は優秀な息子=世子を妬んで毒殺を企てた国王に、毒薬“烏頭”をキラーコンテンツに使って脅し、パク・スン父子の捕縛許可を迫ったのだ。その一方で、ジョイたち“御史団”メンバーが演出した奇想天外な作戦でドスの自白を引き出し、ついに父子を捕える。

悪の権化パク・スンを“御史団”メンバーの前に引き出したイオン。「この者たちはあなたの横暴によって、家族や友人を亡くし、生活の寄り処を失った。彼らに謝罪を」と迫っても、「私は欲を満たしたのみ。謝罪か死か、選べというなら死を選ぶ」と開き直るパク・スンは、人の心を失った、とことん鬼畜だ。イオンは、命を奪う価値もない、と突き放す。

極刑地に連行されたパク・スン。そこに、妾妻だったドスの母が現れ、生後すぐに嫡子と庶子をすり替えた、と真実を告げる。それは、見殺しにしたテソこそが寵愛すべき嫡子だと知ったパク・スンにとって、死よりも辛い生き地獄の始まりだった。

ジョイたちの前では明るくコメディタッチに振る舞うイオン。だが、パク親子の前では喪失感と痛みを秘めたシリアスな表情に切り替わる。憎々しさを徹底追求した親子3人の演技があったからこそ、イオン役テギョンの演技が光り、ドラマのメリハリが引き立った。

大仕事を終え、官職を辞したイオンは呆れるほどのお気楽笑顔。「これからはやりたいことをやる」と、ジョイ、ビリョン(チェ・ウォンビン)、グァンスン(イ・サンヒ)の女子3人組が発案した江華島移住計画に乗っかる。

ジョイは仕立て屋、ビリョンは占い店、グァンスンは薬剤店——。それぞれの得意を生かした商売を始める3人。ずっと夢見てきた自由と自立、そして幸せを手にするチャンスが訪れた。

イオンも従者のユクチル(ミン・ジヌン)、クパル(パク・ガンソプ)とともに、両班の身分を隠して、得意料理のギョーザ店を始める。すると、これが大評判を呼び、誰よりも怖い“おばあさま”という招かざる客まで呼び込んでしまうのが笑える。

だが、御史として危険な目にあってきた孫イオンの身を案じ、結婚と曾孫の誕生を心待ちにする祖母は、身分違いで離婚女子のジョイとの結婚を心の底では認めていた。2人が幸せに暮らす姿は、両班家の格式を重んじて生きてきた祖母に、結婚には身分よりも愛が大事、と気づかせたのだ。最後に愛は勝つ、だ。

一方、使用人のユクチルと平民のグァンスンが身分違いの結婚を決心したことで、イオンも粋な計らいをする。ユクチルとクパルを免賤し、平民の身分に引き上げたのだ。長年、命の危険を省みずに仕えた2人にイオンからのプレゼント。身分差を越え、自分のやりたいことを思うがままにやり、6人で大家族のように暮らす結末に心癒される。

「毎日一緒に食事ができて幸せだ。私とともに人生を歩んではくれぬか?」とようやくプロポーズするイオン。ジョイの返事は「喜んで」というひと言と、25㎝の身長差をものともしない積極的なキスだった。何事も前向きに取り組むジョイらしい。

朝鮮時代劇ではあまり見かけない「私は私の人生を生きる」と奮闘する女性・ジョイを生き生きと演じきったキム・ヘウン。スタート時にくっきり見えたチャーミングなえくぼが、しだいに頬がほっそりして薄れていったのも、半年間の撮影を全力で乗り切ったあかし。喜怒哀楽を体いっぱい使って表現する姿には、元気、やる気、勇気を分けてもらえた人も多かったはずだ。

最後に、コメディ時代劇らしさが垣間見えた1シーンをご紹介。宮仕えを辞めたイオンが家に帰ると、ユクチルが床掃除をしながら「10点満点の10点♪」と口ずさんでいる。もしやテギョンがメンバーの“野獣アイドル”2PMが男臭さ爆発で歌う「10点満点の10点」? これからの自由気ままな生活を思い浮かべ、おどけたダンスを踊るK-POPスター・テギョンを、クパルがオペラグラスで観賞する、という芸コマな遊び心が全開です。お見逃しなく。


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