富山県立山町に現代の宿坊オープン 信仰復興へ古民家改修

内覧会で宿坊立山を見学する関係者ら

 富山県立山町鋳物師沢の築140年以上の古民家が、かつて立山への登拝者をもてなした「宿坊」をイメージした宿泊施設に生まれ変わった。白雪農園(同町末谷口)の坂口創作代表が、多くの支援や地域の職人の協力を受けて改修。「立山信仰を現代によみがえらせるための拠点にしたい」と話す。

 宿泊施設の名称は「宿坊立山」。坂口さんによると、立山信仰の源流とも言える修験行者や山伏の生き方を模した滞在をしてもらう。宿泊費は素泊まりで1人1泊5千円。友人や知人を通じた紹介制で予約を受け付ける。

 再生した古民家は木造一部2階建て。1878(明治11)年に登記された。町西部の農村地帯・釜ケ渕地区で、富山地鉄立山線の沢中山駅そばの集落にある。

 坂口さんが「日本三霊山の立山に巡拝者を集めたい。その舞台として立山に現代の宿坊をつくる」との決意で約3カ月かけて改修し、施設をオープンさせた。3月中旬に内覧会があり、関係者は坂口さんの思いがこもった施設の完成を祝った。

 坂口さんが運営する宿泊施設は3カ所目となり、今後は「分散型ホテル」としても運用する。「観光や歴史ではない『生きた立山信仰』を復興したい。将来的には農家や子どもも集まり交流するコミュニティーにしていきたい」としている。

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