介護保険 20市町村値上げ/青森県内65歳以上 給付増や人口減が背景

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 第9期介護保険事業(2024~26年度)で、65歳以上の高齢者(第1号被保険者)が支払う介護保険料(基準月額)について、青森県内40市町村のうち、値上げする市町村と、据え置きや値下げを決めた市町村がそれぞれ20市町村ずつだったことが29日、東奥日報の集計で分かった。値上げする市町村は、高齢化の進行に伴う介護給付費の増加を理由とする回答が目立った。高齢者の人口の減少や、負担を抑えるための基金残高減少などの影響を挙げる自治体もあった。

 保険料を据え置くのは黒石市、三沢市など12市町村、値下げは八戸市など8市町村だった。県高齢福祉保険課によると、第9期の県内平均保険料(加重平均)は6715円で、第8期の6672円から43円(0.6%)増加する。

 介護サービス利用者の増加に伴い、年々膨らむ費用を賄うため、保険料は全国的に上昇し続けている。加えて国は、介護職員の賃金底上げに向けた措置を含めて、24年度の介護報酬を1.59%のプラス改定とした。値上げを決めた多くの市町村が、介護給付費の増加や介護報酬改定を理由に挙げた。

 第9期で保険料が県内最高となるのは、七戸町の7900円。介護サービス費の増加を理由に、第8期よりも300円増えた。

 増加幅は、佐井村の千円が最大。これまでは積み立てている基金を取り崩しながら値上げを抑えてきたが、「基金の残高限界が見えた」として、24年度は基金の取り崩しを見送り。値上げ幅が大きくなった。

 第9期の保険料を200円値上げする今別町は「今後、被保険者数が減少していく。その減少率が、介護給付費の減少よりも大きい見込みとなり、保険料収入も減少してしまう」と人口減による影響を懸念。外ケ浜町も「第1号被保険者数の減少」を理由に、保険料を40円引き上げる。

 保険料を据え置き、または値下げする市町村は、基金の取り崩しによって負担を抑える判断をした。八戸市は第8期よりも200円引き下げ、第9期は県内で最も低い5800円にする。「物価高騰の影響による経済負担の増加を考慮」したという。六戸町は、県内で最も大きい1550円の値下げを行い、保険料を6210円とする。

 東北町やおいらせ町は、新型コロナ禍による社会活動抑制の影響で介護サービスの利用が少なく、給付費が計画値を下回った結果、第9期の値下がりにつながったとしている。

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介護保険料 介護保険運営のため40歳以上の人が払う保険料。介護サービスにかかる費用は、利用者の自己負担分を除き、公費と保険料で半分ずつ賄う。65歳以上の人の保険料は市区町村や広域連合ごとに基準額を決め、所得に応じて段階的に額が設定される。自治体が3年に1度見直し、原則公的年金から天引きされる。40~64歳の人の保険料は毎年度改定され、加入する公的医療保険を通じて納める。

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