ホロライブ5thフェス「HoneyWorks stage」レポート その姿は、誇り高きアイドル

VTuberシーンにその名を轟かすホロライブプロダクションによる夢の祭典「hololive SUPER EXPO 2024」が、3月16日〜17日に千葉・幕張メッセで開催された。

様々な展示やイベントに加え、魅力的なアイドルたちが集結した大型ライブ「hololive 5th fes. Capture the Moment」も同時開催。2日間で計4ステージが行われ、会場に詰めかけたファンを大熱狂させた。

今回はその中から、女性VTuberグループ・ホロライブとクリエイターユニット・HoneyWorksがコラボした「HoneyWorks stage」の模様をレポートする。

2023年8月、ホロライブは、これまでもメンバーに楽曲提供してきたHoneyWorksと音楽プロジェクトを始動。

オリジナル曲や所属タレントによるカバー曲を次々と発表していき、それらを取りまとめたアルバム『ほろはにヶ丘高校』をリリース。「hololive × HoneyWorks(略称・ホロハニ)」として、密接なコラボレーションを展開してきた。

その集大成となる今回のライブでは更なる相乗効果が巻き起こり、かつてないスケールの夢のステージが実現していた。

執筆:オグマフミヤ 編集:都築陵佑

写真:Takashi Konuma、Mei Okabe

“愛のこもった投げキッス”を振り撒く賑やかな開幕

期待感に満ち満ちる会場に、まず姿を現したのは白上フブキさん、夏色まつりさん、不知火フレアさん、白銀ノエルさん。4人で披露したオープニングナンバーは「ファンサ」だ。

数々のライブでカバーされてきたライブチューンの投下で、オーディエンスのテンションがいきなりマックスまで引き上げられる。“もっと!”の大合唱に応えて、愛のこもった投げキッスを返す4人が、遠慮しらずのフルスロットルで賑やかに開幕を飾った。

1曲目から大熱狂するフロアをなだめて、白上フブキさんと戌神ころねさんによるMCがスタート。「(ほろはにヶ丘高校というコンセプトにかこつけ)起立、気をつけ、礼」と満員のファンたちに規律正しく挨拶をさせたり、コール&レスポンスをしたりと、いつもの調子で遊びまくる2人にホッコリさせられる。

穏やかな気持ちにさせられたのも束の間、続いては戌神ころねさんがソロで「かわいこちぇっく!」を披露。さっきまでの奔放っぷりはどこへやら、尻尾を振りながら方言まじりの歌声を響かせる姿はキュートさ全開。しっかり会場中の可愛い子をチェックして、満足げにステージを後にした。

次にステージに仲良く躍り出たのは、クレイジー・オリーさんとアーニャ・メルフィッサさん。2人が繰り出したのは「シス×ラブ」。満員の幕張メッセもなんのその、姉妹のごとく息の合ったパフォーマンスを繰り広げる。

勢いそのまま、今度は猫又おかゆさんと姫森ルーナさんがコンビで「アイドル十ヶ条」を披露。マイペースな2人がしっかり振りを合わせて、アイドルのあるべき姿を知らしめした。

ふんわりヘアーをなびかせてステージに飛び出たのは桃鈴ねねさん。「同担☆拒否」を元気いっぱいに歌い上げると、大きな大きな愛をスパークさせて会場中の視線を独り占めにする

3面巨大ステージで繰り広げられる大スペクタクル

一息ついてのMCでは、姫森ルーナさんと桃鈴ねねさんがお互いのパフォーマンスを褒めちぎり合う。それぞれのイメージカラーで会場を染め上げ、ウェーブも起こしてオーディエンスとのコミュニケーションをバッチリ楽しみ、次なるパートへ。

今回のライブは、3方向に大型ステージが設けられるという大スケールで行われており、今度は別のステージへと舞台が移る。真っ新なステージにアキ・ローゼンタールさん、癒月ちょこさん、猫又おかゆさん、宝鐘マリンさん、桃鈴ねねさん、ラプラス・ダークネスさん、博衣こよりさん、パヴォリア・レイネさん、セレス・ファウナさん、さらにサプライズで登場したロボ子さんを合わせた10人が一斉に現れると、大歓声が巻き起こった。

キュートで印象的なイントロが鳴り響いて「可愛くてごめん」へ。それぞれが個性を光らせながら、大人数を活かしたパフォーマンスを展開すると、誰に注目すればいいかわからない贅沢な悩みがオーディエンスたちを襲う

一人残らずメロメロにさせられたが、百鬼あやめさんの登場で会場は一気に真紅に染め上がる。スピードアップして突入したのは「うたげ☆独壇場!」。超アップテンポなロックナンバーをこともなげに歌いこなしつつ、時折いたずらな笑顔でファンのハートを切り刻んでいく様は、まさしく彼女の独壇場だ。

続いて、颯爽とムーナ・ホシノヴァさんが現れると、「決戦スピリット」を歌唱。おっとりした表情に反したパワフルな歌声とエネルギッシュなダンスで、会場のボルテージを本日何度目かの限界突破へと導く

一転してしっとりとした雰囲気ではじまったのは、がうる・ぐらさんのソロ「Tokyo Wabi-Sabi Lullaby」。儚い歌声でノスタルジックな夏の情景を描き出すと、背景には花火が打ちあがり、切なくも美しい楽曲の世界観を十二分に表現してみせた。

大空スバル&天音かなた、儚い恋心を歌声で魅せる

ライブはここから中盤に突入。興奮気味にステージに現れたのは、がうる・ぐらさんとハコス・ベールズさんの海外組2。定番のコール&レスポンスをしたり、ウェーブをしたりと、国境を超えたファンとの交流を楽しんだ。

再びステージが移り変わると、大空スバルさんと天音かなたさんが「東京サマーセッション」を披露。

ほんとは気づいてるほんの少しで届く距離
繋ぎたい繋ぎたい本音背中に隠すの
HoneyWorks 「東京サマーセッション」歌詞より引用(作詞:Gom, shito)

背景に打ちあがる花火の華やかさに反して、繊細な恋心を歌い上げる2人の表現力に夢中にさせられてしまう

余韻に浸っていたところに轟音が響きわたる。ドープなサウンドを引っ提げて、ハコス・ベールズさんが再びオンステージ。MCパートでのキュートっぷりが嘘のようなカッコよさで「パクパク成敗」を歌い上げる。小さな体をいっぱいに振り回し、迸るダイナミズムで、ライブ空間を支配していく。

燃やし尽くされたかに思えたフロアだったが、小鳥遊キアラさんとこぼ・かなえるさんの降臨によって潤いを取り戻す。「1日ヒーロー」を歌いながら、仲良しを通り越した相思相愛っぷりをこれでもかと見せつける2人。会場中に優しい笑顔が溢れていく。フロアの隅から隅まで癒し尽くすと、これからも続いていく青春の日々に、新たな1ページを刻んだ。

さくらみこ&ラプラス・ダークネス「リア充は撲滅だ!」

だが、安らぎの時は長く続かない。ハードなギターサウンドと共に登場したさくらみこさんが「motto☆いちごオレ」をドロップし、再びフロアを狂乱の渦へ引きずり込む。

満員の会場から巻き起こる“motto motto”の叫びを一身に受け止め、限界を超越する圧巻のパフォーマンスを展開。確かな自信を伴うカッコよさと隠し切れない可愛さの絶妙なマリアージュで、オーディエンスのハートを撃ち抜いた。

今度のMCは、さくらみこさんとラプラス・ダークネスさんが担当。(「motto☆いちごオレ」の歌詞に)正義のエリート美少女ヒロインと悪の組織のボスが並び立つ、夢の共演でフロアを和ませる。

HoneyWorksといえば「恋と青春」ということで、「恋人と来た人~?」と呼びかけると、会場の至る所から手が上がる。聞いておきながら「ふざけんな!撲滅だ!」と憤る好き放題っぷりを見せつけて、すっかり自分たちの雰囲気に盛り上げていく。

リア充撲滅への機運高まるフロアに躍り出たのは紫咲シオンさんだ。会場中に蔓延する情念を燃料に「リア充★撲滅運動」をパフォーマンス。ちょっぴりダークな歌詞と跳ねるリズムが楽しすぎる楽曲を抜群の表現力で歌い上げ、最後は曇りなしの全開スマイルでキメてみせた

続けて、美しき鍵盤の音色から始まったのは、獅白ぼたんさんと尾丸ポルカさんによる「大嫌いなはずだった。」。対照的な色彩の2人が、ステップを揃えながらHoneyWorksらしさ全開の大人気曲を歌唱する。性質の異なる歌声を見事にユニゾンさせて、どこまでも伸びゆくハーモニーを完成させると、大熱狂が会場を包み込んだ。

2人に負けじと切ない恋心を歌声と表情で魅せたのは、AZKiさん、大神ミオさん、雪花ラミィさんの3人。叶わぬ恋がストレートに綴られた「センパイ。」を、透明感溢れる歌声で披露し、ふいに見せる笑顔でオーディエンスの情緒をかき乱す。

幕張メッセでもやりたい放題 “ぺこまりてぇてぇ”

爽やかな残響が残る会場に、兎田ぺこらさんと宝鐘マリンさんが乱入。一気に雰囲気を変えて突入したのは「ブライダルドリーム」。一糸乱れぬユニゾンっぷりで“てぇてぇ”をばら撒くと、楽しすぎる“最高ですか?最高です!幸せですか?幸せです”コールで、ファンたちのボルテージを強制的に頂点まで引き上げた。

会場中を震え上がらせたてぇてぇっぷりはあくまで曲中でのこと。パフォーマンスが終わった途端に、辛辣な態度を見せる兎田ぺこらさんと泣きつく宝鐘マリンさんが、漫才のようにMCを展開。なんやかんや息のあったやりとりで会場中を笑顔にしていくのだから、流石のエンターテイナーっぷりであった。

続いては、ラプラス・ダークネスさん、鷹嶺ルイさん、博衣こよりさん、沙花叉クロヱさん、風真いろはさんら秘密結社holoXのメンバーが勢揃いし、「アウトサイダー計画」を披露。

自由を求めて何が悪いラプラス・ダークネス、 鷹嶺ルイ、博衣こより、沙花叉クロヱ、風真いろは「アウトサイダー計画」歌詞より引用(作詞:HoneyWorks・MARUMOCHI)

それぞれの個性をギラギラに光らせながら、アナーキーな生き様をパフォーマンスでも示す。

次なる「イノコリ先生」は、角巻わためさんと常闇トワさんが歌唱。いつものふわふわした雰囲気に反したクールな表情を見せる角巻わためさんの歌声と、常闇トワさんのロックな歌声が絶妙にマッチし、美しき共鳴が満員のフロアへ響き渡る。

その姿は、誇り高きアイドル

ここまで、それぞれのステージでパフォーマンスが展開されてきたが、今度はなんと、ときのそらさん、白上フブキさん、湊あくあさん、星街すいせいさん、天音かなたさん、ムーナ・ホシノヴァさん、アイラニ・イオフィフティーンさん、小鳥遊キアラさん、がうる・ぐらさんの9人が3チームに分かれて3つすべてのステージに登場。

全方位に煌めき満ちる中、始まったのは2023年の夏を彩った「ホロライブ・サマー2023」のテーマソング「青春アーカイブ」だ。どこを見ればいいかわからないがどこを見ても最高という嬉しい悲鳴がこだまする中、かつてないスケールで展開される9人のパフォーマンスによって爽快な夏の風がフロアを吹き抜ける。シンガロングに包まれる中、“僕らはまだチャレンジャー”と高らかに歌い上げ、止まらずに挑戦し続ける意思を強く表明した。

そしてライブはいよいよクライマックスへ。満を持して登場したときのそらさんがソロで披露したのは「誇り高きアイドル」。弾ける笑顔だけでなく、時に真剣な表情でひとつひとつの歌詞に魂を込めていく様は、まさしく絶唱。輝きの中に立ち、熱すぎるほどに熱い思いを全て歌声に込めて放つ姿は、誇り高きアイドルそのものであった

フルスロットルで駆け抜けたライブの最後は、星街すいせいさんの「教室は青」でフィナーレ。青春の日々に纏わりつく迷いも憂いも歓びも、余すことなく表現し尽くす圧倒的な歌声を響かせると、かつてなく真っ直ぐな“愛してるー!”の絶叫で、ファンたちの心を鷲掴んだ。会場中から届けられる愛と感謝の言葉と万雷の拍手に包まれて、夢のステージは幕を下ろした。

ただでさえ魅力的なHoneyWorksの楽曲たちを、ホロライブのアイドルたちが愛とリスペクトを込めて披露することで、楽曲の新たな魅力が光り、世界観がさらに深く鮮明になっていく

これまでのコラボレーションで証明済みのHoneyWorksとホロライブの相性の良さを、さらに決定的なものにし、まだまだ続く彼女たちの青春をいつまでも追いかけていたいと思わせられる極上のライブであった。

hololive 5th fes. Capture the Moment「Honeyworks STAGE」セットリスト

M1 ファンサ(白上フブキ / 夏色まつり / 不知火フレア / 白銀ノエル)

M2 かわいこちぇっく!(戌神ころね)
M3 シス×ラブ(クレイジーオリー / アーニャ・メルフィッサ)
M4 アイドル十ヶ条(猫又おかゆ / 姫森ルーナ)
M5 同担拒否(桃鈴ねね)

M6 可愛くてごめん(ロボ子さん / アキ・ローゼンタール / 癒月ちょこ / 猫又おかゆ / 宝鐘マリン / 桃鈴ねね / ラプラス・ダークネス / 博衣こより / パヴォリア・レイネ / セレス・ファウナ)
M7 うたげ☆独壇場!(百鬼あやめ)
M8 決戦スピリット(ムーナ・ホシノヴァ)
M9 TOKYO WABISABI Lullaby(がうる・ぐら)

M10 東京サマーセッション(大空スバル / 天音かなた)
M11 パクパク成敗(ハコス・ベールズ)
M12 1日ヒーロー(こぼ・かなえる / 小鳥遊キアラ)
M13 motto☆いちごオレ(さくらみこ)

M14 リア充 ★撲滅運動(紫咲シオン)
M15 大嫌いなはずだった。(獅白ぼたん / 尾丸ポルカ)
M16 センパイ。(AZKi / 大神ミオ / 雪花ラミィ)
M17 ブライダルドリーム(兎田ぺこら / 宝鐘マリン)

M18 アウトサイダー計画(ラプラス・ダークネス / 鷹嶺ルイ/ 博衣こより / 風真いろは / 沙花叉クロヱ)
M19 イノコリ先生(角巻わため / 常闇トワ)
M20 青春アーカイブ(ときのそら / 星街すいせい / 白上フブキ/湊あくあ / 天音かなた / ムーナ・ホシノヴァ / アイラニ・イオフィフティーン/小鳥遊キアラ / がうる・ぐら)
M21 誇り高きアイドル(ときのそら)
M22 教室に青(星街すいせい)

「HoneyWorks stage」のアーカイブ配信は、4月22日(月)23時59分までSPWNで販売中。4月23日(火)23時59分まで視聴できる。

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