さよなら棟方志功記念館(青森市) 48年余の歴史に幕 所蔵作品は県立美術館へ

閉館当日も大勢の来館者でにぎわった棟方志功記念館

 青森市出身の世界的板画家・棟方志功(1903~75年)の作品約2千点を所蔵する同市の棟方志功記念館が31日、建物の老朽化などを理由に48年余りの歴史に幕を閉じた。最終日は通常の5倍近い648人の来館者が訪れ、集大成的な企画展「板極道(ばんごくどう)」を名残惜しそうに見学。記念館を運営する一般財団法人の小野次郎理事長は「日本一の所蔵数を誇る記念館としての存在を最後まで示し続けることができた。多くの人たちにお礼を申し上げたい」と万感の思いを述べた。

 記念館は棟方の文化勲章受章をたたえ、県と市の協力で75年11月に開館。2012年7月には神奈川県鎌倉市の棟方板画美術館と合併し、棟方作品では最大のコレクションを誇る施設となった。開館から閉館までの来館者数は、延べ約195万人に上る。記念館閉館が明らかになった22年以降は来館者数が伸び続けた。

 閉館時間の午後5時過ぎ、最後の来館者を見送った小野理事長と丸山丈(たける)事務局長が「ありがとうございました」と入り口の門を閉じると、見守った人たちから拍手が上がった。

 一般財団法人は記念館閉館後も存続し、県立美術館(青森市)を拠点に作品の展示や研究活動を担う。所蔵作品は同美術館に順次移管し、同美術館では「棟方志功展示室」の面積を2倍以上に拡張して7月にリニューアル予定。小野理事長は「作品は県民の宝。拠点が移っても、大事に引き継いでいってもらえれば」と期待した。

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