タンタンファースト、治療に全力の3年 加齢の影響徐々に色濃く、途絶えたX投稿 神戸・王子動物園

園の人気ナンバーワンだったタンタン=2011年3月、神戸市立王子動物園

 「神戸のお嬢さま」として長年親しまれた王子動物園のジャイアントパンダ、タンタン(雌)が、国内最高齢の28歳で息を引き取った。2021年春に心臓疾患が判明して以降、約3年にわたって治療に全力を注いできた同園。「チームタンタン」として一丸となった飼育員や獣医師らの取り組みが、タンタンの長寿に貢献したのかもしれない。

 「快適に過ごしてもらって、少しでも病気の進行を和らげられるように。『タンタンファースト』で取り組んでいます」。昨年末に開かれた、中国との飼育契約延長の記者会見で、加古裕二郎園長が力を込めた。

 28歳は人間で言えば80代と高齢。新型コロナウイルス禍で当初決まっていた中国への帰国が延期される中、21年4月に心臓疾患が分かり、強心薬などの投薬治療を開始した。

 22年3月からは体調管理に専念するため一般観覧を休止。日中は外に出て日光浴をしてもらい、寝室には酸素供給装置を置いて快適な環境を整えた。23年夏以降、継続的に中国ジャイアントパンダ保護研究センターの獣医師が来日し、アドバイスも受けた。

 まさに「タンタンファースト」の体制を組んでの治療が続けられたが、徐々に加齢の影響は色濃くなっていく。23年秋には目に見えて食欲がなくなり、活動量は1日100分程度に減少した。23年末の会見で同園の獣医師は「病状が悪くなったというより、加齢で身体機能が低下しつつある。いまは日中のほとんどを寝て過ごしている状態」と明かしていた。

 公式X(旧ツイッター)で長く続いてきた「#きょうのタンタン」の投稿も、今年3月20日で途絶えた。休止の報告にはファンから「毎日会えなくなるのはさみしいですが…タンタンさんの体調が良くなるよう祈っています!!」「どうかお身体をご自愛されてタンちゃんの体調管理をお願いいたします」などと多くのコメントが寄せられた。(井沢泰斗)

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