ヤンキース快進撃の原動力はソトだけじゃない!代役レギュラーのオズワルド・カブレラが“恐怖の9番打者”として開花?<SLUGGER>

強敵アスロトズとの開幕4連戦をスウィープ勝ちと絶好調のヤンキース。2番・ライトを務める新加入のフアン・ソトが4試合で打率.529、1本塁打と存在感をいかんなく発揮しているが、快進撃の原動力となっているのは彼だけではない。メジャー3年目を迎えたオズワルド・カブレラが、アーロン・ジャッジやジャンカルロ・スタントンといった強打者を差し置いてチーム最多6打点を挙げているのだ。

開幕戦では6回に同点ソロを放ち、2試合目は7回の同点タイムリーを含む4安打。3戦目も7回に同点弾を放って直後のソトの勝ち越し弾を呼び込み、アーロン・ブーン監督からも「彼がすべての中心にいる」と絶賛される大活躍ぶりだった。

ベネズエラ出身のカブレラは今年3月に25歳になったばかりで、ソトとは同い年。まだまだあどけない顔立ちの首元には、金のネックレスがぶら下がっている。15年に亡くなった祖母の歯で、母から託されたお守りだという。
少年時代は三冠王ミゲル・カブレラ(昨年限りで引退)に憧れていたというが、同姓のヒーローとは異なり、2016年に17歳でヤンキースと契約した当時は身長178cm、体重65.7kgとかなり華奢な体格だった。だが、プロ入りしてから肉体改造に取り組み、その後4年間で25kgも体重が増加。それとともにパワーが開花し、21年は2Aと3Aの計118試合で29本塁打を放っている。この年は19年に比べて打球速度が平均5マイルも上昇するなど急成長した。

22年8月にメジャーデビューを果たすと、最終22試合で6本塁打を放つなど強打者の片鱗を示したが、昨季は一歩後退。バッテリー以外の7ポジションをこなすユーティリティとして115試合に出場したものの、打率.211、わずか5本塁打に終わった。9番・三塁で今季開幕を迎えられたのも、本来のレギュラーであるDJ・ラメイヒューが負傷で出遅れたためだった。このめぐりあわせは、お守りにしている祖母の魂のなせる業か。

開幕レギュラーは幸運によるものかもしれないが、カブレラはそこで最高の結果を出した。4安打を放った開幕2戦目後も、「たった2試合だよ。まだまだシーズンは続くんだ」と語るなど気の緩みはない。ベネズエラ出身の25歳は、いよいよ開花の時を迎えているのかもしれない。

構成●SLUGGER編集部

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