美しい滝、本来の姿に ダム造成で下流に土砂 工事で取り除く 福島県郡山市湖南町の中ノ入地区

土砂が取り除かれ、かつての姿に戻った滝=2月

 福島県郡山市湖南町の中ノ入地区にある滝がかつての高さに戻った。土砂がたまり、一時は本来の半分となる7~8メートルまで短くなった。地域住民が県に工事を要望し、昨年末に土砂が取り除かれた。関係者は「昔の姿に戻ってうれしい」と喜んでいる。

 地元住民でつくる郡山市ぶなの森を守る会によると、1964(昭和39)年ごろ、滝の手前にダムが造られた。下流に土砂が少しずつ堆積し、15メートルほどの高さがあった滝は半分にまで短くなった。

 守る会会長の小椋豊記さん(73)は子どもの頃によく滝のそばで遊んだという。近くに不動明王のほこらがあり、祭りの際は住民が手を合わせた。「思い入れのある場所をこのまま放っておけない」と中ノ入行政区と守る会が数年前、県県中農林事務所に要望書を提出。安全性の確保などから工事が行われた。

 現在は、黒い岩の表面を美しく流れる滝を見ることができる。小椋さんは「昔の記憶がよみがえる。ぜひ足を運んでほしい」と話している。

下流部分に土砂がたまり、半分ほどに短くなった滝=昨年11月

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