冷え性3タイプ あなたはどれ?【隠れ冷え性】4つのサインも要チェック

女性の約8割は冷え性だということを知っていますか? しかも年齢が上がるにつれて増える傾向があるそうです。あなたの平熱は何度ですか? 冷えとりカリスマ医師 石原新菜先生に、特に更年期の症状で悩んでいる女性に5回に分けてアドバイスをいただきます。第2回は冷え性のタイプについて。

★更年期症状と冷えの関係は?★

日本人の平均体温は1℃も下がっている!

皆さん、ご自分の平熱を知っていますか? 知らない? では測ってみましょう。朝10時ごろがベストです。おそらく36.5℃以上になった女性は、あまり多くないと思います。

過去の医学事典を引くと「平熱は36.5〜37.5℃」と書かれています。ちょっとびっくりですよね。現代人の場合、平熱が37℃を超えている人はめったにいませんから。日本人の平熱は、ここ数十年で1℃も下がっているのです。

しかも男性に比べて、女性のほうが明らかに体温が低い。それはなぜだと思いますか? 原因は筋肉量です。体の熱は4割が筋肉で作られているので、筋肉量の多い男性は体温が高いのです。年齢が上がるにつれて、筋肉量は減ってきますから、更年期の女性が冷えやすいのは当然といえますよね。

では、冷え性の何がいけないのでしょう。最大の問題は血流が悪くなることです。冷えることで血管がキュッと縮こまって、血液が流れにくくなります。人間の体は隅々にまで毛細血管が張りめぐらされていますが、冷えるとその先端まで血液がめぐっていかなくなるんです。ということは、栄養も水分も届かないということ。

そのせいで臓器の不調が起き、代謝も落ちていきます。「たっぷり水分をとっているのに、お肌の乾燥がおさまらない」「食べる量を減らしてもやせない」「疲れやすい」「風邪をひきやすい」という場合、原因は冷えにあるのかもしれません。

冷えはなぜ体に悪い?

【1】血流が悪くなる
体が冷えると血管が収縮して、血液のめぐりが悪くなります。毛細血管は血液が通っていない「ゴースト血管」となり、体のすみずみに酸素や栄養が行き渡らない状態に。肌トラブルも臓器の不調も血流悪化が原因です。

【2】代謝や免疫力が下がる
体温が1℃下がると、代謝が13%落ちるといわれています。代謝が落ちると太りやすくなり、むくみやすくなることも。免疫に関わる代謝は37℃前後で活性化するので、低体温の人は感染症にかかりやすい傾向もあります。

【3】 気のめぐりが悪くなる
漢方では、気(エネルギー)、血(血液)、水(体内の水分)の3つのバランスが整っていることが健康な状態とされます。冷えで「血」や「水」がめぐらなくなると「気」もめぐらなくなり、気鬱などの精神面の症状も出やすくなるのです。

内臓だけが冷えている「隠れ冷え性」に注意

冷え性というと「手足が冷たい人」という印象があると思いますが、体温が36.5℃以上あれば、冷え性としては軽い段階です。

問題は内臓の冷えです。ちょっとおなかを触ってみてください。ひんやりしていたら要注意です。体の中心が冷たいということは、全身が冷たいということなんです。

たまに「手足がほてって眠れないから冷やしている」と言う人がいますが、大間違いです。手足が熱くても、体温を測ると35℃台ということもあるんですよ。たとえば、ちょっと動くと汗がダラダラ出る場合は、体温が高いのではなく、体に水分がたまり過ぎているのが原因。漢方では「水毒」といいます。「昇症」もそうですが、熱や水が体をめぐっていないということです。こういう人を「隠れ冷え性」と言います。

めぐりをよくするためには、やはり温活が大事です!

あなたの冷え性はどれ? 冷え性3つのタイプ

【危険度1】末端型冷え性
手足は冷たいものの体幹は温かく、体温も36.5℃以上というタイプ。寒さを感じると、熱を奪われないように手足の血管は自然に収縮するので冷えてしまうのです。「手足が冷たい」と感じることが増えたら、温活は必須。

【危険度2】下半身型冷え性
「冷えのぼせ」といわれる状態。下半身は冷たいものの上半身、特に顔がほてる傾向があります。更年期症状の一つ、ホットフラッシュがある人も。スクワットやウオーキングなど、下半身を動かすことで改善します。

【危険度3】内臓型冷え性
手も足も温かいのに、体の内側が冷えているタイプ。寒さを感じても皮膚の毛細血管が収縮されず、どんどん熱が放出されている状態なのです。自律神経の働きが乱れている可能性もあり、温活対策は急務です!

隠れ冷え性 4つのサイン
1 汗っかき 水毒=水で冷えている
2 足が冷たい 「冷えのぼせ」の状態
3 手足がほてる 体の中心が冷えている
4 おなかが冷たい 内臓が冷えている

※この記事は「健康」2024年春号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

監修者
医師 石原新菜

いしはら・にいな
イシハラクリニック副院長。漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療にあたっている。親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。著書に『やせる、不調が消える 読む 冷えとり』(主婦の友社)など多数。


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