陶芸家×マグロ解体師、二刀流デビュー さばいた身、自作の皿で提供 兵庫・丹波篠山で市野さん

巧みな包丁さばきを披露する市野さん=丹波篠山市今田町上立杭

 丹波焼の陶工とマグロ解体師、二つの顔を持つ市野貴信さん(30)=兵庫県三田市=が、初の「マグロ解体ショー」を丹波伝統工芸公園「立杭陶の郷」(丹波篠山市今田町上立杭)で開いた。約80人を前に巧みな口上で会場を盛り上げ、「二刀流」のデビューを飾った。(秋山亮太)

 市野さんは昨秋、全国鮪解体師協会認証の1級資格を取得。丹波焼の窯元「信水窯」の陶工も務めており、陶芸とマグロの魅力をかけ合わせた活動を今後展開して地域のにぎわいにつなげようと取り組んでいる。

 初舞台は地元開催にこだわり、交流サイト(SNS)などで告知。約80人が集まった。ショーの幕開けと同時に市野さんはマグロを肩に担いで登場した。長崎県産で重さは36キロ、体長約1メートルのサイズに観客は大興奮。ステージに上がった市野さんは、口上でさらに熱気をあおりつつ、解体に使う包丁などの道具や、マグロの種類を紹介した。

 音楽に乗せて手際よく解体し、切り分けた新鮮な身を客席に見せて回った。マグロのカブト(頭)を落とす際には、サプライズで市野さんが妻の維斗さん(28)を壇上に招き、2人で「カブト入刀」を披露。刃渡り120センチの長包丁を使う場面では、会場全員で「ヨイショ、ヨイショ」のコール&レスポンスで盛り上がった。

 さばいたマグロはにぎりずしにして、市野さんが手がけた丹波焼の「マグロ皿」で提供された。丹波市に住む友人と参加した女性(52)=横浜市=は「ねっとりとろける食感。甘みがあっておいしい」とほほ笑み、「解体ショーは初々しくすてきだった。また見に来たい」と話していた。

 マグロ解体師としてのデビュー戦を振り返り、市野さんは「緊張しすぎで壇上の記憶がない」と苦笑。将来的には定期開催を目指したいとし「立杭地区の魅力となれるよう、陶芸もマグロも努力を惜しまず頑張っていきたい」と話した。

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