一森さんに独創学生賞 八高専で口腔がん治療装置を研究

独創研究学生賞を受賞した一森純さん(前列中央)

 2023年度に行われた「第54回学生員卒業研究発表講演会」(日本機械学会東北支部主催)で、当時八戸高専機械システムデザインコースの5年生だった一森純さん(20)=4月から宇都宮大に編入=が、口腔(こうくう)がん治療装置に関して発表し、独創研究学生賞を受賞した。27日は八戸高専で伝達式が行われ、一森さんは「まさか受賞できるとは思っていなかった。うれしい」と喜びを語った。

 同高専産業システム工学科の井関祐也准教授の研究室では、熱に弱いがん細胞を電磁波でピンポイントに加熱することで、切除を必要とせずに治療する口腔がんの新型治療装置を開発している。ただ、脳や眼球などの重要な器官に悪影響を及ぼさずに、口腔だけを加熱する必要があるという。

 一森さんは装置の電磁波を照射する部分について、患者ごとに適切な寸法にすることで口腔の効率的な加熱ができないかを模索。さまざまなシミュレーションを行い、患者に応じて照射部分の寸法をはじき出せることを示した。

 講演会は3月14日に仙台市で実施。大学生や高専生らによる66件の発表が行われ、4人に同賞が贈られた。高専生は一森さんのみで、八戸高専としては4年連続の受賞となった。

 伝達式では、土屋範芳校長校長が一森さんに賞状を手渡し、「自分にしかできない研究をこれからも楽しく進めてほしい」と激励した。【全文】

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