「天国でゆっくりしてね」「最後に会いに来たよ」 王子動物園にタンタン献花台設置、ファンが列

タンタンが過ごしたパンダ舎に詰めかけた人たち=2日午前、神戸市灘区王子町3(撮影・大田将之)

 神戸市立王子動物園(同市灘区)のジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」(雌、28歳)が死んだことを受け2日、同園のパンダ舎に献花台が設けられた。午前9時の開園と同時にファンが列を作り、生前の愛らしい姿を思い浮かべながら、タンタンが過ごしたパンダ舎を見つめていた。

 タンタンは3月31日夜に心肺停止となった。心臓疾患に起因する衰弱死とみられる。人間では100歳近くに相当し、国内最高齢のパンダだった。

 タンタンがいなくなったパンダ舎には、大好物だった竹を食べる姿の写真と、果物や竹が置かれ、手を合わせながら涙を流す人も。パンダ柄のマスクを着けた予備校生(18)=京都市=は白いユリの花を手向け、「しばらく観覧できない中でのお別れだったので、最後に会いに来ました」と話した。

 神戸市灘区の男性(61)は、タンタンをイメージしたという白い花束を持参。赤ちゃんやパートナーとの死別、闘病など波瀾万丈のタンタンの生涯に「自分の人生を重ねてきた」といい、「独特の魅力があった。いろいろな姿を見せてもらった」と感謝した。

 タンタンの来園当初から、気持ちがふさぐたびに会いに来ていたという同区の女性会社員(49)は「天国にはつらいお薬もない。ゆっくりして」と涙を拭った。同園によると、献花台は1カ月以上設置する予定で、お別れの会の開催も検討している。(森下陽介、大高 碧)

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