「誰も1番から5番まで守れない」名手マリオンの発言にグリーンが反論「俺はブランソンとブラウンを連続でガードしてきた」<DUNKSHOOT>

3月31日(日本時間4月1日)のサンアントニオ・スパーズ戦。ゴールデンステイト・ウォリアーズはステフィン・カリーがゲームハイの33得点に8アシスト、ドレイモンド・グリーンが21得点、6リバウンド、11アシスト、6スティールと生え抜き2人の活躍により117-113で勝利。4連勝を飾った。

34歳のグリーンは、ヴィクター・ウェンバンヤマ相手にも絶妙なディフレクションを何度も見せて相手の得点機会を奪い、今季ベストとも言えるパフォーマンスを披露した。

試合後の会見で、スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)も「今夜のドレイモンドは見事だったね」と称えていた。

「あれはまさにディフェンスにおける傑作だった。終盤のオフェンシブ・リバウンドではクレイ(トンプソン)のスリーを生み出した。おそらく試合最高のプレーだ。試合を観れば、ドレイモンドがディフェンス面で天才だとわかるはずだ。ドレイモンドの優れた部分であり、コート上の誰よりも半歩先にいるかのようだった」

グリーンは昨季までのキャリア11シーズンでオールディフェンシブチームに8度選ばれた実力者で、2016-17シーズンには最優秀守備選手賞も獲得。ウォリアーズが15年から22年にかけて4度の優勝を飾るうえで、不可欠な存在だった。
もっとも、1999年にNBA入りし、フェニックス・サンズやダラス・マーベリックスなどで16シーズンをプレーしたショーン・マリオンは、グリーンがリーグ最高級のディフェンダーと評されていることに納得していないという。

先日マリオンは米メディア『basketball.network』へ自身がグリーンよりもディフェンス面で優れているとして「俺がただ1人の人間だ。(自分以外に)誰も1番(ポイントガード)から5番(センター)まで守れない」と語り、その発言が同メディアのインスタグラムに投稿された。

現役時代、主にスモールフォーワードとパワーフォワードを務めたマリオンは、豊富な運動量と驚異的な身体能力の高さを駆使して平均2桁リバウンドを4シーズンで記録したほか、キャリア平均で1.5スティール、1.1ブロックをマーク。オールスターに4度、オールNBAチームにも2度名を連ねた。

ただ、当時はオールディフェンシブチームに歴代最多の15回も選ばれたティム・ダンカン(元スパ―ズ)、同2位タイの12度選出されたケビン・ガーネット(元ミネソタ・ティンバーウルブズほか)という殿堂入りビッグマンがいたため、マリオンはオールディフェンシブチームに選ばれることは一度もなかった。 とはいえ、マリオンは自他ともに認めるオールラウンドなディフェンダーであり、もし現代でプレーしていれば、現役時よりも注目を浴びていたかもしれない。

もっとも、マリオンの意見にグリーンが黙っているわけではない。その投稿に「なぁ兄弟、俺はジェイレン・ブランソンとジェイレン・ブラウンを2シリーズ連続でガードしてきたんだぜ!」とリアクション。
2022年のプレーオフ。グリーンはダラス・マーベリックスとのカンファレンス・ファイナルでブランソン(現ニューヨーク・ニックス)、ボストン・セルティックスとのファイナルではブラウンと、タイプの異なるペリメーターの選手とマッチアップし、ウォリアーズの優勝に貢献した。

198cm・104kgのグリーンと、201cm・103kgのマリオンは、サイズだけを見れば大差ないものの、パワーでは前者、身体能力では後者に分がある。ただ、どちらも複数のポジションをガードできる高いディフェンス力を有しており、甲乙つけがたいところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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