生活保護費の分割や一部不支給は「違法」 受給者が損害賠償求め群馬・桐生市を提訴 「立場の弱い人が苦しまないように…」

 群馬県桐生市の生活保護費が一部不支給だった問題で、受給者の60代男性と50代男性は3日、対応が違法だったとして同市に損害賠償計55万円を求め、前橋地裁桐生支部に提訴した。

 訴状によると、同市は昨年8月、60代男性に対して月額7万1460円の生活扶助費を支給する決定をしたが、毎日求職活動をすることを条件とした上で1日当たり1000円を手渡し、同月は計3万3000円、翌9月は計3万8000円しか支給しなかった。昨年5月に支給が決まった50代男性に対しても、満額を支給していなかったと指摘。同9月末時点で60代男性には9万3750円、50代男性には12万380円が未支給だったが、その後、まとめて支払われたという。

 生活保護法では、生活扶助費を前渡しするよう定めている。同市はこれまで、60代男性への支給について「(求職は条件でなく)同意を得て扶助費を管理していた」と説明している。

市の検証結果は「甘い」

 原告側の弁護団は3日、前橋市で記者会見に臨んだ。市が3月の第三者委員会で公表した検証結果で満額支給をせず、残金を金庫で保管していたことを「不適切」と表現したことについて、斎藤匠弁護士は「認識が甘い。違法であり、受給者に死を要求する結果となる可能性があった」と強調。内部調査では限界があるとし「裁判を通じて原因を明らかにしたい」と訴えた。

 弁護団を通じ、60代男性は「市の法律違反で苦しい思いをした」、50代男性は「立場の弱い人が苦しまないように原告となった」などとコメントした。桐生市は「訴状が届き次第、内容を精査の上、真摯(しんし)に対応する」とした。市は現在、第三者委を設置するなどして調査を続けている。

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