由美かおるさん・73歳。10代の頃の体型を今もキープしている秘訣とは?

「人生、まだまだこれから!」と、70代の今もミニスカートが似合うスタイルのよさをキープし、はつらつと笑う由美かおるさん。そのバイタリティの源は、健康な体と心にありました。由美さんの元気を支える日々の習慣、そして心の持ちようとは?

PROFILE
由美かおるさん・女優

ゆみ・かおる●1950年京都府生まれ。
66年、映画『夜のバラを消せ』でデビュー。その後、映画、ドラマ、歌手、MCなど、幅広く活躍。24年間出演したドラマ「水戸黄門」では、華麗なアクションや妖艶な入浴シーンが話題に。
現在は歌手活動の他、自身が開発した呼吸法の指導で多忙な日々を送る。
近著に『由美かおる ブリージング・レッスン』(白秋社)。

30年以上続ける呼吸法が健やかな心と体をつくる

ハリのある美肌に豊かな黒髪、ミニスカートからスラリと伸びる脚には10センチのハイヒール。カメラの前で軽快にポーズを決める由美かおるさんは、なんと御年73歳。誰もが驚く若々しさだが、海外の人から「30代ですか?」と聞かれることもあるという。

その変わらぬ若さの秘密を尋ねると、「近くで見たらシワも白髪も少しありますよ」と茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべながら、日々の健康習慣を教えてくれた。

「私の健康の基本は、何といっても呼吸です。私が毎日行っているのはコア(丹田)呼吸と、バレエの師に教わった『足芯呼吸』をベースに、筋肉をほぐすためのストレッチを組み合わせたオリジナルの呼吸法。これは足裏から息を吸うようなイメージで息を吸い上げ、全身にめぐらせた後、足裏に向けて息を吐くというもの。多くの酸素を体内に取り入れ、排出することができるんです」

体内に取り入れた酸素がもたらすメリットは、数え上げればきりがない。細胞の活性化、血行促進、基礎代謝の向上や免疫力アップ、疲労回復、脳の活性化……。由美さんを見れば、その効果は明らかだ。

「酸素が必要なのは内臓だけでなく、肌や髪も一緒。私は肌のお手入れには無頓着で、スキンケアはシンプルに化粧水と美容液、乳液だけ。それも決して高いものではありません。それでも肌をほめていただけるのは、呼吸によって栄養が行き届いているからなのでしょう。今まで白髪染めをせず黒髪を維持できているのも、呼吸を意識した生活を送る効果なのかなと思っています」

また体だけでなく、メンタル面でも大きなメリットを感じているという。

「深い呼吸は自律神経のバランスを整えてくれるので、心がゆったりほぐれてリラックスできるんです。寝る前に行えば朝までぐっすり快眠できますし、目覚めもすっきり。気持ちが落ち込んだり、イライラしたりしたときも効果は抜群。すっと心が落ち着き、自然と気持ちが明るい方向へ向くようになりました」

若々しい体をつくる毎日習慣① 朝はオリジナル呼吸法で体を元気に目覚めさせる

由美さんが毎朝必ず行うのは、足芯(足裏)、丹田(コア)、百会(頭頂)を通る経路を意識しながら行う呼吸法。適宜息継ぎをしてもいい。

①体を前に倒しながら、足裏に向けるように10秒かけて口から細く息を吐く。

②足裏から吸い上げるイメージで鼻から息を吸いながら上体を起こす。

③コアを意識し、両手を上げながら10秒かけて息を吸う。

④さらに5秒かけて百会まで息を吸い上げる。

⑤軽く息を止めたまま、手をおろし体の前面を通るイメージでコアに息をおろしてためる。

⑥体を前に倒しながら、足裏に向けて10秒かけて口から細く息を

姿勢を意識しながら毎日1~2時間歩きます

15歳でデビューした当時のままの体型が維持できているのも、呼吸法のおかげ。そう話す由美さんだが、最近生活に取り入れたことがあるという。それは「歩くこと」。

「70歳を機に、移動手段を車から電車やバスに切り替え、なるべく自分の足で歩くようにしています。そのときはハイヒールじゃありませんよ(笑)。フラットな靴を履いてあちこち歩いていると、気づけば1万歩以上歩いていたなんてことも」

意識するのは、正しい姿勢だ。

「呼吸をするときも、歩くときも姿勢はとても大切。正しい姿勢をとるには、足を肩幅に開いて立ち、お尻に軽く力を入れて、ひざをゆるめます。こうすると自然に骨盤が前に出て、背骨がゆるやかなカーブを描いた状態に。この姿勢で呼吸や歩行を行うとすごくラクなんです。毎日1~2時間ほど歩いていますが、腰やひざが痛むこともありません」

ときには道に迷ったり、電車の乗り換えがわからなくなったりすることもあるけれど、由美さんはそれすらも楽しんでいるよう。

「この間も地下鉄の乗り換えがわからなくなってしまって。近くにいた方に尋ねたら、わざわざスマホで調べて教えてくださったんです。皆さん親切で、ありがたいですよね。わからないことは、臆せずどんどん聞いちゃいます。恥ずかしいなんて思わないですよ。新しいことをするとき、失敗はつきものですから。失敗しながらいろいろな経験をするたびに、世界が広がっていく。それがすごく楽しくて。毎日ワクワクしています」

何事も「やってみなはれ」精神で。これはサントリー創業者、鳥井信治郎氏の言葉であり、由美さんの行動の指針でもある。

「美しい音楽を聴いたり、絵を観たりして感動すると、すぐに『私もやってみたい!』と思っちゃう(笑)。できないかもしれないけれど、やってみないとわからないでしょう?」

アコーディオン、ジャズ、描画などいろいろなことにチャレンジしてきたが、最近はミニスカートに挑戦中だ。

「事務所のスタッフにすすめられて数十年ぶりにはいてみたら、緊張感があっていいんですよ。人に見られているという緊張感で、気持ちがシャキッと引き締まります。ミニスカートは若い方が行くお店のほうが種類も豊富なので、『SHIBUYA109』やファストファッションのお店でのショッピングにもトライ。若い店員さんとの会話は刺激になるし、新しい服と手持ちの服をコーディネートする時間も楽しくて。実は今日着ているブラウスも、ZARAで買ったものなんですよ」

そう話す由美さんの目は、冒険を楽しむ少年のよう。失敗を恐れず、新たな世界を軽やかに楽しむその心持ちもまた、由美さんを輝かせるパーツの一つなのだろう。

若々しい体をつくる毎日習慣② 新しいことにチャレンジする気持ちを常にもつ

65歳のときには本格的にアコーディオンの練習を開始。

「夢中になりすぎて楽器を持つほうの腕だけ太くなってしまって(笑)。でも知らないことを知ったり、できないことができたりした瞬間は本当にワクワクするし、『生きていてよかった!』としみじみ思いますね。これから挑戦する予定なのは、ミシン。服を自分でお直しできるようになれたらいいなと」

その時に食べたいものを自由に食べる

健康な体づくりに欠かせないといえば毎日の食生活も。「食べることが大好き」な由美さんは、そのとき食べたいものを自由に食べている。

「お肉も大好きだけど、家で作る料理はおいしいおだしで野菜を煮るような、シンプルな和食が多いかな。 私は15歳で親元を離れてしまったのですが、舌が覚えているんですよね、母の味を。母の作ってくれた素朴な料理が、私の食の原点になっている気がしますね。おだしは昆布とかつおぶしでとり、毎朝具だくさんのみそ汁を食べています。おだしがおいしければ調味料も少なくてすむので、ヘルシーに仕上がります」

若々しい体をつくる毎日習慣③ おなかがすいたときに何でもおいしく食べる

「食べたいと思うものが、体が欲しているもの」というのが由美さんの考え。

「だからそのとき食べたいものを食べています。不思議なもので、体の声をちゃんと聞いていると、食べすぎてしまうこともないんですよ。朝は白米に具だくさんのおみそ汁、ヨーグルトと果物が定番メニュー。大好きな白米は、甘みが感じられるまでしっかり噛んで食べています」

健康で歩ける足があればどんなことも実現できると信じ、チャレンジを続けたい

70代の今も夢をもち続けている。

「おいしいものをたくさん食べるというのも、これからチャレンジしたいことの一つなんです」と笑うが、夢はまだまだ果てしない。

「全国で呼吸法のレッスンを開催していますが、日本だけでなく世界中で健康づくりのお手伝いができたらと。そのために英語のレッスンにも力を入れているところです。新たな気持ちで学び直している歌も、本当の意味で自分が楽しめる域に達するまで追求していきたい。できれば映画にも出演したいし、やりたいことは尽きません。人生はまだまだこれから。健康で歩ける足があればどんなことも実現できると信じて、チャレンジを続けたいと思っています」

※この記事は「ゆうゆう」2024年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

撮影/松木 潤(主婦の友社) ヘア&メイク/久保早苗
イラスト/さくらえりこ 取材・文/恩田貴子


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