鍬形蕙斎の傑作 「江戸一目図屏風」 江戸のまちを見事に描いていて壮観/岡山・津山市 

津山藩御用絵師・鍬形蕙斎の傑作「江戸一目図屏風」(岡山県重文)が津山市の津山郷土博物館で1年ぶりに公開され、1809(文化6)年に描かれた鳥瞰(かん)図に来場者が見入っている。5月6日まで。

6曲1隻の屏風絵(縦176センチ、横353センチ)は、手前に隅田川、中央に江戸城、奥に富士山を遠望する鳥瞰技法を用いた画面に日本橋、九段坂、芝増上寺など特定できる建物や地名が600以上ある「名所絵」の魅力も併せ持つ。目を凝らせば往来する人々の姿、動植物などが略画技法によって生き生きと描かれている。

さらに一目図の布石とされる木版画「江戸名所の絵」、「津山景観図屏風」(市重文)、「吉野山図」といった蕙斎作品を併設している。

大阪市の弁護士・尾近正幸さん(67)は「初めて見たが、名所や細かな人物も含め、江戸のまちを見事に描いていて壮観」と話した。

小郷利幸館長は「作品保護のため限られた期間しか出せない名作。この機会に現物を鑑賞し、他の作品とともに”蕙斎ワールド”を堪能してほしい」とPRしている。

一目図の布石とされる木版画「江戸名所の絵」

© 津山朝日新聞社