●コンサートや市場、にぎわい拠点に定着
県立図書館(金沢市小立野2丁目)の来館者数が2023年度、102万6046人となり、当初の目標だった年間100万人を上回った。22年7月に移転オープンしてから年度を通して開館したのは昨年度が初めてで、利用者数は全国の都道府県立図書館で最多となる可能性がある。子どもの遊び場や名建築としても人気の新図書館は今後、隣接する金沢美大との連携を検討し、県成長戦略で掲げた年間120万人の達成を目指す。
昨年度の入館者数は、旧県立図書館(同市本多町3丁目)の平均である約25万人と比べて4倍に増えた。貸出冊数も旧図書館の4.3倍となる61万2181冊だった。
新図書館は開館から1年間の来館者数が102万3300人と、23年度と同じく「100万人超え」を果たしている。
ただ、22年度の途中で開館しているため、同年度でみると来館者は78万1318人と、都道府県立図書館で3年連続首位の岡山県立図書館(79万9769人)には1万8千人余り及ばず、全国2位だった。
●岡山は80万人見込み
岡山県立図書館によると、23年度の来館者数は80万人程度を見込んでおり、石川県立図書館が初めて全国1位になる可能性が大きい。
旧図書館の老朽化に伴い新築移転した現在の県立図書館は、外観はタイル張りのパネルとガラスを交互に折り重ね、内部は吹き抜けを多くの本が取り囲む円形劇場を模した形が特徴だ。SNS(交流サイト)では写真映えするスポットとしても人気を博している。
開架冊数や書庫収蔵能力、閲覧席を従来より大幅に拡充した上、自習用スペースを設けたことで、これまで少なかった若年層の利用が増えた。絵本コーナーや遊具を備えた「こどもエリア」も親子連れの人気を集め、「おしゃべりOKな図書館」としても知られる。
週末を中心にコンサートやマルシェ(市場)といった多彩な催しも開かれ、本との出合いにとどまらない新たなにぎわい拠点として定着した。
県は今後、時節に合った特集やイベントの企画に加え、昨年10月に道路を挟んで向かい側に移転した金沢美大との連携も探る方針。文化振興課の担当者は「多彩な取り組みを展開し、これまで利用していない人にも足を運んでもらいたい」と語った。
●災害・防災コーナー新設
県は能登半島地震の発生を受け、同図書館3階に災害や防災、復興について学ぶ特設コーナーを設けた。備蓄食料やスマホを活用した防災技術などに関する図書約280冊を用意した。