夜のコンビニ駐車場で道交法適用、なぜ? トラック運転手が車内で酒飲み事故 飲酒検知や任意同行拒み逮捕

大型トラックがぶつかり、損傷したコンクリート製の段差=三木市内

 酒を飲んだ状態で大型トラックを運転したとして、道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで、京都府のトラック運転手(43)=当時=が兵庫県警三木署に逮捕された(現在は釈放済み)。現場はコンビニの駐車場だ。なぜ、私有地で起きた事案で道交法が適用され、運転手が逮捕されたのか。調べてみた。(小西隆久)

 同署によると経緯はこうだ。3月上旬の午後5時半ごろ、三木市内のコンビニ駐車場に1台の大型トラックが入り、運転手が店員に「駐車場で一晩泊まらせてもらう」と告げ、許しを得た。常連だったという。

 その約2時間後、店員が運転手に「客の邪魔になるので車を移動させてほしい」と依頼。運転手は応じたが、コンビニで購入した紙パックの焼酎(900ミリリットル)や缶ビールなどを車内で飲んでおり、車体の後方部を金属製の柵やコンクリート製の段差に計3回ぶつけてしまった。

 店員にとがめられた運転手は自ら110番。検査で基準値の3倍超のアルコール分が検出されたという。

不特定多数の人や車の出入り自由

 ここで問題となるのは、現場が道路交通法の及ぶ道路であるかどうかだ。

 同法2条は、道路法や道路運送法に規定する道路のほかに、「一般交通の用に供するその他の場所」を道路と定める。コンビニ駐車場の場合、不特定多数の人や車が自由に何度も繰り返し出入りできることから「その他の場所」と認める過去の裁判例があるという。

 同署は裁判例を踏まえた上で、今回の駐車場がそのケースに該当すると判断。運転手が当初、飲酒検知を拒否したり、任意同行を拒んだりしたため逮捕したという。

 では、コンビニ店員はどうなるのか。三木署によると、店員がトラックを移動させるよう依頼した際、運転手が酒に酔っていたとしても「会社の同僚に頼むだろう」と思っていれば、飲酒運転を勧めたとは言えない。また、販売も「家に帰って飲むためかも」と考えたなら、酒類提供に当たらないと判断するという。

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