深海に眠る戦艦「大和」に合掌…彫刻家・中村晋也さん設計の慰霊塔修復終わる

戦艦大和(大和ミュージアム提供)

 鹿児島県伊仙町は、完成から56年が経過して老朽化していた犬田布岬の「戦艦大和を旗艦とする特攻艦隊戦士慰霊塔」の大規模な修復工事を終えた。総事業費の約7割を島内外の寄付で賄った。大和が東シナ海で沈没した79年前の4月7日午後2時23分に合わせ、現地で慰霊祭を開く。

 碑は文化勲章受章者の彫刻家中村晋也さんが設計し、1968年に完成した。「合掌」をモチーフに、大和の艦橋と同じ高さ24メートルの鉄筋コンクリート製。上部には大和と、ともに沈んだ矢矧(やはぎ)など随伴艦5隻を表す桁が計6本ある。建立時に徳之島西方沖とされていた大和の沈没地点はその後、枕崎市西南西沖の約200キロと判明した。

 潮風や波しぶきによる塩害でコンクリート片がはげ落ちるなどし、2010年に補修。それでも劣化が止まらず、21年ごろから塔周辺への立ち入りを禁止していた。23年12月から今年3月末まで修復工事をした。

 総事業費8700万円。修復に使途を指定した「一般寄付」は4700万円、町のクラウドファンディングが1200万円と計7割近くに上った。町一般財源で不足分2800万円を補った。きゅらまち観光課の常秀範係長は「たくさんの方々から善意をいただき、ありがたい」と感謝する。

 慰霊祭は1968年から毎年行われ57回目。約100人が参列する。航空自衛隊のF15戦闘機の慰霊飛行などがある。

修復工事を終えた慰霊塔=2日、伊仙町犬田布(同町役場提供)

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