千々石ミゲルの墓所推定地 調査団体が報告書刊行 調査開始から10年 長崎・諫早

まとめた報告書を市長に手渡す浅田代表(右)=諫早市役所

 天正遣欧少年使節の一人、千々石ミゲルが埋葬されたとみられる長崎県諫早市多良見町山川内の墓所推定地で発掘調査に当たった民間の千々石ミゲル墓所調査プロジェクトが、文化財保護法に基づく発掘調査報告書を作製した。浅田昌彦代表(70)らが3月26日、市役所で大久保潔重市長に刊行を報告し、寄贈。市は、文化財指定など今後の取り扱いについて市文化財保護審議会で意見を聞き、対応を検討する。
 2014年に始まった一連の調査では、二つの埋葬施設と男女2人の骨が出土。墓石は禁教令後の1633年に没した男女2人の戒名が刻まれた日蓮宗形式だったが、女性の墓からはキリシタンの副葬品も見つかった。
 同プロジェクトは指導委員会(委員長・谷川章雄前日本考古学協会長)の判断を踏まえ2022年4月、「ミゲル夫妻の墓所と確定することができた」と結論付けていた。
 4回の発掘調査とその成果を写真や実測図などを交えてまとめた報告書は、「報告編」(A4判、133ページ)と「分析・考察編」(同、121ページ)の2分冊構成。ミゲルの子孫の浅田代表や、04年に墓石発見を発表した調査統括の大石一久さん(71)らが市役所を訪れ、報告した。浅田代表は取材に「発見発表から20年、調査開始から10年の節目に刊行でき、感慨深い。調査で誰の墓なのか、どういう意味を持つ墓なのかが分かった。報告を読んで、ここをどう生かしていくか検討していただければうれしい」と話した。

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