被災地、希望胸に入学式 奥能登の小中 学びの春スタート

入学式に臨み、名前を呼ばれて返事をする新入生=5日午前10時5分、珠洲市上戸小

 能登半島地震で被災した珠洲市や能登町などの小中学で5日、入学式が行われた。被災を理由に引っ越しした家庭も多く、例年より児童生徒が減った学校もあったが、新入生は期待に胸を膨らませ、学びの春をスタートさせた。

 児童生徒の約3割が地震を機に市外へ転居した珠洲市では、7小学校、1義務教育学校、2中学校で入学式が行われた。大谷小中は新入生はいなかった。

 4人が入学した上戸小では、式場となった体育館が避難所として使われていた。山岸修校長は式辞で「友達と仲良く、ぐんぐんと成長してほしい」と述べ、在校生が歓迎の歌を披露した。

 新入生の加藤優宗(まさむね)君は、同市上戸町北方の自宅が被災し、3月下旬まで三重県いなべ市にある母友希さん(36)の実家で過ごした。加藤君は「勉強するのが好きなので、精いっぱい頑張る」と話し、父宗和さん(38)は「入学式に合わせて帰って来ることができた。学校生活を楽しんでほしい」と目を細めた。

 若山小では、昨年度と同じく新入生が1人の入学式となった。在校生に迎えられた水口結彩(ゆい)さんは点呼に大きな声で返事をし、時兼薫校長から「初めてのことがたくさんありますが、チャレンジしてできることを増やして」と激励を受けた。

  ●奥能登で2割超減

 県教委によると、今年度の新入学者数は公立小学校が8517人(前年度比58人減)、公立中学校が9364人(320人増)の見通し。

 奥能登4市町の公立小中学校では、地震前の昨年12月末時点の在籍者は計2676人だったが、今年度は2割以上減る見込みだ。

 5日は珠洲、羽咋、志賀、能登の4市町の小中学校、義務教育学校と県立錦丘中の32校で入学式が行われた。金沢など15市町の公立小中学校と公立高の全日制40校と定時制6校、特別支援学校9校の入学式は8日に行われる。

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