飲食店「AI無しは考えられない」 まず新メニュー名の案を「チャットGPT」で30種類、そこから職人がアイデア膨らませ料理開発

アメリカのOpenAIが開発した生成AI「チャットGPT」。おととし11月に公開され、質問を入力すると、まるで人間と会話しているかのように自然な回答が返ってくることなどから、大きな話題となりました。
しかし、実際に日々の業務で活用しているという人は、まだまだ少ないのではないでしょうか。この「チャットGPT」をユニークな形で活用している飲食店があります。

鳥取県米子市内にある和食居酒屋、「美酒佳肴ゆらく」。

看板メニューのさばしゃぶを始め、山陰の食材や旬の食材を味わうことができます。

ここで「チャットGPT」がどう活躍しているかというと…

美酒佳肴ゆらく 高井賢一 店長
「新メニューを考えたりだとか、イベントを行うときの案を出してもらったりしています」

例えば、3月に開催された「さばしゃぶの日」のイベントも、チャットGPTからアイデアを得たといいます。

美酒佳肴ゆらく 高井賢一 店長
「まず、3月8日にさばしゃぶの日としてイベントをしたいということで、居酒屋7店舗でできるイベント内容を10個考えてと入力しました」

すると、食べ放題や限定メニュー、さばしゃぶ対決などの案が提案されました。しかし…

美酒佳肴ゆらく 高井賢一 店長
「提案されたものだと、各店のオペレーション的に大変だということで、もう少しオペレーションが簡単な内容にしてという指示で、再度案を10個出してもらいました」

さらに提案された10個の中から「プレゼントキャンペーン」を採用し、そこからアイデアを広げていったということです。

そして、この日取り組んだのが春の新メニュー開発。その様子をのぞかせてもらいました。

まず、チャットGPTに、店舗情報や春の新メニュー案を考えてもらいたい旨を記入すると…

すさまじいスピードで30種類のメニュー名が提案されました。

次に「もう少し洋食よりで」という注文を加え、提案されたメニュー名を見ながらスタッフと話し合いを重ねます。

美酒佳肴ゆらく 高井賢一 店長
「提案されたメニューの名前を見て、これ面白そうだなっていうのをチョイスして、そこからは職人がどういう風に調理したらいいか、アレンジしたらいいのか、味付けを作っていきます」

気になるメニュー名が決まったら、次は試作に取り掛かります。

今回作るのは「ホタルイカのさくさく揚げ春巻き」と「桜エビとアボカドのカプレーゼ」です。

チャットGPTから得るのはあくまでもメニュー名だけ。
どんな調理法が良いのか、どんな味付けが良いのかなど、ここからは職人にバトンタッチです。

完成した春巻きを味見させてもらうと…

小崎純佳キャスター
「ホタルイカとふきのとうの組み合わせ、初めて食べましたがよく合いますね。そして、春巻きのパリパリ感ととびっこのつぶつぶ感、食感も楽しめます」

続いて、チーズや桜エビなどが層になったものを最中で挟んだ、おしゃれなカプレーゼは…

小崎純佳キャスター
「濃厚なクリームチーズとアボカド、そのあとに爽やかな味付けの野菜、最後に桜エビの風味がふわっと香って、春を感じます。奥深い味わいですね」

この2品は、新メニューとして提供される予定です。

店でチャットGPTを活用し始めて一年、店長は、作業効率が上がったと話します。

美酒佳肴ゆらく 高井賢一 店長
「以前は「今度春メニューにするから、みんな案を5~10個出してきて」と案を集めて、そこから4~5時間かけて会議して、試作を繰り返すという流れだったんですけど、時間かけていたところが無くなったというのがあります。手放せないというか、無しは考えられないです」

チャットGPTを使って、次はどんな料理が生み出されるのでしょうか。

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