【教職員の不祥事】対策強化が必要だ(4月6日)

 県内の教職員による不祥事が続いている。わいせつや酒気帯び運転など、教育者としての資質自体が疑われる事例も少なくない。教職員としての自覚と責任感を高める取り組みのさらなる徹底が求められる。

 2023(令和5)年度の懲戒処分は20件で、前年度を5件上回っている。2021年度の31件に次いで過去5年間で2番目に多い。内訳はわいせつと速度超過各5件、交通加害事故4件、パワハラ2件、横領、体罰、車検切れ運転、漁業法違反各1件となっている。

 先月27日には小学校の教頭が道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕された。2023年度の逮捕者は4人目に達する。地元教委によると、学校の送別会に出席後、気遣う他の教諭に「代行が来るから大丈夫」と答えたという。

 大沼博文県教育長は「教職員自らの内省」「職場内の意思疎通」「管理職による働きかけ」を不祥事防止のポイントに挙げる。実践策として、昨年11月から県立学校を自ら訪問し、綱紀粛正を指導している。学校長と懇談し、教職員の代表数人とも直接意見を交わす。県内教育界のトップによる異例の対応を続けているが、それでも防げないのはなぜか。

 訪問指導の実施済みは20校で、全体の4分の1程度にとどまる。残る学校への指導と合わせ、不祥事を一掃できない要因や背景を学校内の意思疎通や働き方など、広範囲な視点で検証する必要がある。

 不祥事防止のマニュアルが今月、改訂された。別冊の「チェックシート」は、「児童生徒と私的なSNS等でのやりとりを一切行っていない」「『かもしれない』運転を励行し、集中して運転できる環境にしている」など、県臨床心理士会の監修を受けた19項目を追加した。県教委は各校で毎月開く校内服務倫理委員会などでの活用を求めているが、点検、確認事項は190項目、管理職編は45項目に及ぶ。今後、監修を受けた項目は特に重要と位置付け、高い頻度でのチェックを各学校に通知するとしている。

 ひと握りの教職員による不祥事であっても影響は子どもや保護者をはじめ、教育界全体にも及ぶとの意識をさらに強めて、再発防止に努めるべきだ。(渡部総一郎)

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